NECがインサイドセールス機能をマーケティングと営業の連携に活かす取り組みを2016年9月に全社プロジェクトに拡大し、ターゲットとなる企業(アカウント)を中心にマーケティング施策を展開する「ABM(Account Based Marketing)」を実践している。
NECで約4年にわたりCMO(最高マーケティング責任者)を務めてきた清水隆明取締役執行役員常務と『究極のBtoBマーケティングABM(アカウントベースドマーケティング)』(小社刊)でABMの企業導入を提案したシンフォニーマーケティングの庭山一郎代表取締役の対談を前後2回に分けてお届けする。
今回は、NECが構造改革を進める中で、デジタルマーケティングをどう活用していくかというところから話を聞いた。
NECがこれからの成長曲線を描く中で、ビジネスモデルの転換が求められていると思います。CMOとしてデジタルマーケティングをどう活用していきますか?
清水:私はCMOとなった4年前に「NECは変わる」と宣言しました。「社会価値創造型企業になろう」と言って社会ソリューション事業の拡大を目指したのです。社会課題の解決と自身の成長を両立させる典型的なCSV(共有価値創造)企業へとリブランディングしようとしました。
並行してNECはスマートフォンなどのパーソナル事業を順次やめていきました。会社が変わるタイミングで、社内も社外もブランドを変える局面に直面したのです。
一方で、お客様も急速に変わってきました。お客様が減り、いつでも財布を開けて待ってくれている時代ではなくなりました。
お客様のマインドセットも変わりました。デジタル化が企業の成長のキーワードであり、背中を押すキーワードになっていると多くの経営者が気づいたのです。自分の会社はどうすべきか、デジタル化はどうやって推進するべきか、マーケティングをどう強化すべきかについて、多くのお客様が迷いを持つようになりました。