今はなき歴史的建造物を現地で楽しむ、沖縄のリゾート物件での暮らしを疑似体験する─。VRやARの先進企業では、自社のビジネスに合わせて活用を進めている。今回は、近畿日本ツーリストなど5社の取り組みをみていこう。最後に、2016年10月に発売されたVR端末「PlayStation VR」の事業統括責任者のインタビューを掲載する。

 2015年2月。東京・千代田の旧江戸城の石垣の上に突如、天守閣が現れた。とはいえ、誰もが見られるわけではない。セイコーエプソンのシースルー型スマートグラス「MOVERIO」を着用した40人ほどの観光客だけが、この風景を楽しんだ。近畿日本ツーリスト(KNT)が企画した、観光ツアーにAR(拡張現実)を組み合わせた「スマートツーリズム」の1例だ。

 ARとは、両眼シースルー型スマートグラスやスマートフォンなどを使い、人が見ている景色に、CGなどコンピュータ上にあるデータを重ね合わせて見せる技術だ。「最先端技術を旅に掛け合わせる次世代型観光として、ARをツアーに組み込むことにした」と、KNTの波多野貞之未来創造室課長は話す。

 スマートツーリズムの第1弾が、2015年2月から3月にかけて実施した「江戸城天守閣と日本橋復元3Dツアー」。1000人が申し込むほどの注目を集めた。

 ツアーに先立ち、遺跡の復元などを手がけるアスカラボ(東京・目黒)の協力を得て、江戸城天守閣などの復元コンテンツを制作。明治時代や江戸時代の日本橋の様子は、フジテレビジョンから、CGコンテンツを借り受けて、紹介することにした。

近畿日本ツーリストはAR(拡張現実)で江戸城天守閣復元3Dツアーを開催して好評博す
近畿日本ツーリストはAR(拡張現実)で江戸城天守閣復元3Dツアーを開催して好評博す
ツアーは1回当たり40人が参加。セイコーエプソンのスマートグラスMOVERIOを、説明ポイントで装着。復元された天守閣などを現場で楽しんだ
[画像のクリックで拡大表示]

この先は日経クロステック Active会員の登録が必要です

日経クロステック Activeは、IT/製造/建設各分野にかかわる企業向け製品・サービスについて、選択や導入を支援する情報サイトです。製品・サービス情報、導入事例などのコンテンツを多数掲載しています。初めてご覧になる際には、会員登録(無料)をお願いいたします。