ITインフラSummit 2017のソリューション講演では、ニフティの斉藤尊比古氏が登壇。業務の効率化やコスト削減を目的とした守りのIT活用だけでなく、新事業の開発や顧客接点の創造といった攻めのIT活用を実現する第一歩として、クラウドに移行することの重要性を訴えた。

ニフティ クラウド事業部クラウドインフラ部課長 斉藤 尊比古 氏
ニフティ クラウド事業部クラウドインフラ部課長 斉藤 尊比古 氏

 「アプリケーションとハードウエアの更新頻度は一致しない。ハードウエアについては、自前で調達するのではなく、クラウドに任せるのが効果的だ」。斉藤氏はクラウドの意義をこう説明する。クラウド上で動かすアプリケーションに関しても、今後はクラウドを前提としたものを使うようになるという。

 ニフティは現在、米VMwareのサーバー仮想化ソフトを利用したクラウドサービス「ニフティクラウド」を提供している。データセンターは、東日本地域に2拠点、西日本地域と北米に各1拠点あり、スペックも様々な43タイプのサーバーを用意している。

 可用性対策として、高可用性クラスタリングのVMware HA機能を標準で提供し、物理サーバーが故障した場合も別の物理サーバーに切り替えて、約5分で仮想サーバーを復旧させるという。ストレージもRAID6相当の冗長化をしており、ディスクが2基同時に壊れてもデータが守られる。

 「オンプレミス環境がVMware環境の場合は、簡単にニフティクラウドに移行できる」と斉藤氏。仮想サーバーのイメージファイル(OVF形式)をネットワーク経由でアップロードしてクラウドにインポートできるほか、ハードディスクを介してクラウド環境に持ち込める。

 講演の中盤は、ニフティ自身が本社移転にともない、システムをニフティクラウドに移行した事例を紹介した。移転前は、本社のサーバールームに開発環境を置いていたが、新社屋にはサーバールームが無いため、クラウドに移行したという。

 最後に斉藤氏は、クラウド移行にあたって知っておくとよいポイントをいくつか示した。まず、仮想サーバーへの移行後、ハードディスクが認識されない場合がある。このトラブルの多くは、RAIDドライバに起因しており、VMware Toolsを使った標準ドライバの上書きによって解決する。

 また、移行時にも、オンプレミスで稼働中のサーバーを停止させたくないというケースについては、VMware vCenter Converterのように、サーバーを停止することなく仮想化環境に移行できるツールが有効だとした。