「ITインフラ Summit 2017」のリバーベッドテクノロジーのソリューション講演では、同社の草薙伸氏が、専用線やインターネット回線が混在したハイブリッドWAN環境における課題について解説した。その上で、WAN環境でアプリケーションのパフォーマンスを向上させる同社のソリューションを紹介した。

リバーベッドテクノロジー 技術本部長 草薙 伸 氏
リバーベッドテクノロジー 技術本部長 草薙 伸 氏

 安価な従量料金で利用できるクラウドサービスが、企業のITインフラとして有力な選択肢となっている。ただ、こうしたサービスを導入するようになった結果、企業のWAN環境は複雑な構成になりつつある。

 自社の拠点やデータセンターをつなぐ専用線やインターネットVPN(仮想私設網)、パブリッククラウドを利用するためのインターネット回線などが混在する「ハイブリッドWAN環境」になっている企業が急増中という。

 ハイブリッドWAN環境における重要な課題は、「既存のアプリケーションのパフォーマンスをキープしつつ、新たなアプリケーションをいかに高速化するかだ」と草薙氏は指摘する。

 インターネット回線を利用する場合、LANや専用線に比べて遅延時間が大きくなる。同社の調べによると、ログイン時間を比較した場合、遅延時間が10ミリ秒以下のLANでは2.08秒であるのに対し、遅延時間が100ミリ秒程度のWANでは23.08秒、200ミリ程度のWANでは34.54秒もかかっているという。

 そこで、WANのトラフィックを削減、アプリケーションのパフォーマンスを向上させるソリューションが、同社のアプライアンス製品「Riverbed SteelHead」である。WANで接続されるデータセンターや拠点ごとに、この製品を設置することで、WANのトラフィックを削減できる。

 重複するデータの転送を行わない「データ・ストリーミング・ライニング」、パケット中のヘッダー情報を除去するなどしてTCPペイロードを最適化する「トランスポート・ストリーミング・ライニング」、特定のアプリケーションに対してデータのやり取りをインターセプトしてローカルで完了させる「アプリケーション・ストリーミング・ライニング」などの機能によって、トラフィックを削減している。

 ただし、これまではインターネットを介して通信を行うパブリック・クラウド・サービスには適用できなかった。サービスを提供するデータセンターに「SteelHead」を設置できないからだ。

 同社は、この課題を解決するために新たなソリューション「Riverbed SteelHead SaaS」を投入した。SteelHead SaaSは、英アカマイ・テクノロジーズのコンテンツ・デリバリー・ネットワーク(CDN)と統合されたSaaS。アカマイのCDN上でSteelHeadを稼働させる仕組みだ。これによって、パブリッククラウドを利用する際に、ユーザーの拠点に設置したSteelHeadとCDN上のSteelHeadが連携し、トラフィックを削減できるようになった。

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