「ITインフラSummit 2017」のシーディーネットワークス・ジャパンによるソリューション講演では、同社の堀井義貴氏が、Webサイトの表示を速くする方策として、CDN(コンテンツ配信ネットワーク)サービスを提案、その利点を説明した。

シーディーネットワークス・ジャパン パートナーセールスマネージャ 堀井 義貴 氏
シーディーネットワークス・ジャパン パートナーセールスマネージャ 堀井 義貴 氏

 堀井氏はまず、Webサイトの表示速度に関する指針を紹介した。それによると、Webサイトの利用者の60%は「3秒以内なら合格」であり、74%は「5秒を超えたら他のサイトに行く」という。

 他方、「モバイル端末は気軽に使えるので、突発的にアクセスが集中しやすい」(堀井氏)という傾向もある。例えば、同社の顧客の1社、ルミネ(LUMINE)が運営するEC(電子商取引)サイトでは、会員にSNSでセールなどの通知をすると、モバイルからのアクセスが殺到するという。

 遠距離からのWebアクセスも以前より増えた。総務省によると、2015年11月における海外から国内への通信帯域は1060Gビット/秒で、国内から海外への306Gビット/秒を大きく上回る。「遠距離アクセスだとサイトの表示が遅くなる」(堀井氏)。

 こうした中、Webサイトの表示速度を改善する方策は「負荷分散と距離対策の2点に集約される」(堀井氏)。負荷分散については、複数のWebサーバーで分散させるスケールアウトや、サーバーの性能を強化するスケールアップが有効になる。

 距離対策としては、アクセスしてきたユーザーの近くにWebサーバーを置き、できるだけ近距離からデータを送ることや、遠距離向けに通信を最適化することが肝心だ。ただし、あちこちにWebサーバーやWAN高速化装置を設置すれば当然、コストがかさむ。これを解決するのがCDNというわけだ。

[画像のクリックで拡大表示]

 CDNを利用すれば、世界中に配置されている配信サーバー(キャッシュサーバー)の中から、アクセスしてきたユーザーに一番近いサーバーからデータを配信できる。配信サーバーが多い分、DDoS攻撃にも強い。

 その仕組みは、DNS(名前解決サーバー)への問い合わせに対してCDNのIPアドレスを返す、というもの。Webアクセスを受けたCDNの負荷分散装置は、ユーザーにもっとも近い配信サーバーにアクセスするように誘導する。

 講演の後半では、CDNの事例を紹介した。ルミネの場合、年に6回のセールがある。従来は、アクセスの集中に耐えられるようにセール期間中だけ契約帯域を増やしていた。CDNの導入後は、契約帯域を変更する必要がなくなった。

この記事に関連する資料