2017年、企業はIT化、デジタル化の司令官について決断を迫られる。新たに、CDO(最高デジタル責任者)を置くべきか、これまでのリーダーであるCIO(最高情報責任者)に任せるか、だ。

 CDOは最近、聞く機会の増えた企業のデジタル化の責任者だ。米国ではゼネラル・エレクトリック(GE)など、CDOを置く企業が増える。日本でもLIXIL、損保ジャパン日本興和、三菱ケミカルホールディングスなどがCDO職を設置、あるいは新設を発表し始めた。今年は日本のCDO元年になりそうだ。

 CIOは言わずと知れたITの最高責任者だ。CIOは単に技術動向に詳しいだけでなく、企業の戦略に沿ったITを立案する存在といえる。欧米に比べると実態のない名ばかりの存在が多いのではないか、と言われることもあるが、着実に日本企業にも根付いてきた。

 「攻めのIT」、「守りのIT」と言われる。攻めのITを重視し、一気に変革を進めるなら旗手であるCDO設置は一番の打ち手だろう。キーワードとしては「CDO対CIO」と書いたが、両者は必ずしも対立する存在ではない。技術と企業の戦略に明るいCIOがCDOの役割を兼務するケースもある。

 ただし、ITを利用した変革、新ビジネス、新サービスが企業の成否を分けていくのは間違いない。技術を理解し、自社にとって最適なものを選び、実現させるCDO的人材の重要性は高まり続ける。