企業のデジタルトランスフォーメーションが進めば、求められるITエンジニアの姿も変わってくる。単に、新たな領域で強いだけでなく、従来のエンタープライズ領域のスキルも備える「バイモーダルITエンジニア」が必要とされるようになる。

 近年、何でも一人でこなせるスーパーエンジニアを「フルスタック」と呼んでいた。ハードウエアからOS、サーバー、アプリケーション、ユーザーインタフェースまで、あるいは企画から運用まで、広いカバー範囲を持つエンジニアだ。少人数のチームで高度なシステムを組むために、重要視された。

 現状で、システム構築のターゲットは、大きく二分されている。「SoR」と「SoE」、あるいは「モード1」と「モード2」だ。大まかに言えば、前者は従来の業務システムなどを指し、後者は新たなサービスや業務を実現するシステムなどを指す。米ガートナーは、モード1とモード2をうまく推進していく「バイモーダルIT」を企業が実施していくべきと提唱する。

 こうした2種類のシステム構築を進めるための肝心のエンジニアは、スキルセットが分かれ、分断されている。前者はウォーターフォールや業務パッケージ、RDBMS、後者はアジャイルやAI、クラウドサービスなどだ。

 しかし今後、IoTをはじめ、企業のデジタルトランスフォーメーションが進めば、既存の業務と新たなサービスが一体化したシステムが必要になってくる。モード1とモード2のどちらかしか対応できないエンジニアでは、役割が限定される。フルスタックと言われるエンジニアも、モード2のみの対応の場合が多い。どちらも理解できるからこそ、デジタルトランスフォーメーションを真に実現できるはずだ。2017年は、こうした「バイモーダルITエンジニア」が求められるだろう。