サーバーからストレージ、ネットワークまで、あらゆるインフラを仮想化する「オール仮想化」が、2017年は企業システムに広がっていくだろう。

 IT分野の仮想化といえば、仮想サーバーや仮想ストレージがデータセンターを中心に普及している。サーバーを仮想化することで、CPUやメモリーといったリソースを効率的に利用し、サービスを迅速に立ち上げられるようになった。こうした環境では、仮想サーバーを増やしたり別の物理サーバーに移したりするのも容易だ。サーバーの仮想化に伴って、必然的にストレージも仮想化されるようになった。

 そうした仮想化の延長線上にあるのが、ネットワークの仮想化だ。まず、仮想サーバーや仮想ストレージを導入したデータセンターで、それらのリソース間の通信を効率的に行うために、ネットワークの仮想化が進んだ。ここで主に使われているのが、ネットワーク機能をソフトウエアとして実現する「NFV(Network Functions Virtualization)」と、ソフトウエアでネットワークを操作する「SDN(Software-Defined Networking)」の二つの技術だ。

 従来は、こうしたオール仮想化はデータセンター内だけの話だった。ところが、今後は企業でも仮想サーバーや仮想ストレージの導入が進むと考えられるため、NFVやSDNによる企業ネットワークの仮想化も進むはずだ。ネットワークの仮想化が進むことで、ネットワーク構成の組み換えやVLANの付け替え、柔軟なセキュリティ対策などが可能になる。