AWS(アマゾン・ウェブ・サービス)やMicrosoft Azureといったパブリッククラウドではなく、あえてオンプレミス環境を第一の選択肢とするケースが出てきた。「オンプレファースト」の考え方で、パブリッククラウドへの移行の手間や、セキュリティリスクを避けるのがユーザーの狙いだ。

 オンプレファーストが従来のオンプレミス利用とは異なるのは、ハイパーコンバージドインフラ(HCI)製品の活用などで“クラウド的なインフラ”を社内に整備し、構築や運用の手間を抑えている点だ。

 HCIは、PCサーバー(ノード)にハイパーバイザー(サーバー仮想化ソフト)とストレージ仮想化ソフト、運用管理ソフトを導入して提供する製品のこと。米ニュータニックス(Nutanix)が切り開いた市場に多くのベンダー参入。2016年11月には「Dell EMC」が新製品を投入するなど、活況を呈している(関連記事:Nutanix対抗の真打ち、「Dell EMC×VMware」が登場)。ユーザーはシステムの成長に合わせてノードを買い足し、スケールアウトでインフラを拡張できる。北陸銀行やオリックス生命などがHCIを導入し、社内クラウドの強化に取り組んでいる。

写真●HCI製品「Dell EMC VxRail 4.0」のラインアップ
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 このHCIはそもそもは、IaaS(インフラストラクチャー・アズ・ア・サービス)を社内に構築するための製品。もう一歩踏み込み、ミドルウエアを含めたPaaS(プラットフォーム・アズ・ア・サービス)をオンプレミスに持ち込む手法もある。IBMやマイクロソフト、オラクルなどは自社が提供するPaaSと同等のインフラをオンプレミスにも提供する(関連記事:我が家にパブリッククラウドがやってきた!)。

 例えば「Oracle Cloud Machine」は、Oracle DBなどを同社製ハードに導入したうえで、顧客のオンプレミスに設置。ユーザーは社内PaaSとして従量課金で利用できる。導入・設定だけでなく、ハードやソフトのリモート監視などもオラクルが行う。

 マネージドサービスで手間が省けるなら、クラウドではなくオンプレミスでかまわないと考えるユーザーはあるだろう。

 オンプレミスでのマネージドサービス提供に向けて、パートナープログラムを拡充するのがレッドハットだ。「Private Cloud as a Service」のコンセプトを掲げ、IaaS構築ソフト「OpenStack」および「コンテナ」の普及を目指し、2017年1月にパートナープログラムを強化したり新設したりする。SIerやISVに対し技術者へのトレーニングや、検証センターの提供、マーケティング支援などを行う。

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