IBM i(旧AS/400)販売店大手JBCCの東上征司社長は「IBM iの安定感に油断してはいけない」と強調する。日本IBMから移った東上社長は自社のIBM i技術者に危機感を覚えた。「IBM iを愛する顧客と障害の無いシステムに浸り、新しいチャレンジがない」と感じたからだ。「IBM iは飛躍的に伸びる市場ではない。このままでは当社のビジネスはじり貧」と感じた東上社長は、IBM i技術者などにアジャイル開発や超高速開発技術を教え込み、事業改革を推し進めている。

(聞き手は井上 英明=日経コンピュータ


 2012年2月に日本IBMからJBCCに入社し、同年4月に社長に就いた。外から見たJBCCは「中堅企業にIBM iのシステムを導入するのが得意で、ユーザーに丁寧に対応する真面目な会社」という印象だった。「赤字でも今回は踏ん張ろう」と中長期的な関係を大切にする会社だなと。

 入社すると思った以上に真面目だった。あまりにIBM i中心の事業に固定化されていると気づいた。IBM iを愛し過ぎるがゆえに、この製品に閉じてしまい、新しいテクノロジーに挑戦しようという気概が無かった。

JBCC社長兼JBCCホールディングス代表取締役 東上 征司 氏
JBCC社長兼JBCCホールディングス代表取締役 東上 征司 氏
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 社長に就いて最初の四半期、既存も新規もことごとくIBM iの案件だった。信じられず、「本当にそれだけやっているの?」と言ってしまった。

 IBM iは素晴らしい製品だ。ハードもアーキテクチャー優れており、運用も容易だ。ただ、素晴らしい製品が永遠に市場に受け入れ続けられるわけではない。オープン化の波で、(IBM i独自の開発言語である)RPGのアプリケーションはWebアプリケーションに置き換えられている。

 IBM iの市場は成長市場ではない。毎年数%縮むのに合わせて人員を減らす会社でいいわけがない。閉じていたらじり貧に向かうのに、会社全体に危機感が欠けていた。

 それは実は顧客のためにもならない。現場の技術者に聞くと「IBM iでどんどんオープンシステムができているのは分かっているが、そちらに移れないジレンマもあった」という。顧客を成長させるシステムが作れているのかどうか、社員も自問自答していたが、会社としての戦略がそれを抑えていたのではないか。

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