チーム内コミュニケーション手段として、メールは非効率―。こう考えるIT現場が増えている。こうした現場は社内メールを廃止し、チャットツールに乗り換えている。ネット企業で顕著だったが、最近はSIベンダーにも広がってきた。

 そうした1社であるサーバーワークスの宮澤 慶氏(サービス開発部 情報システム課)は「チーム内コミュニケーションを円滑に取るには、メールは効率が悪い」と言う。同社は2014年に米Slack TechnologiesのSaaS型チャットツール「Slack」の利用を開始した。

機能不全になる社内メール

 メールをチーム内コミュニケーション手段とすることに起因する課題は大きく四つある(図1)。

図1●チーム内メールが生む四つの非効率
チーム内のコミュニケーションツールは社内メールが主流だが、その弊害が現れ始めている
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 一つめは、自分宛てではないメールが大量に届くことだ。メールではCC欄を利用して情報共有を図る。情報共有を重視するほど、受信メールは多くなる。メールのチェックに時間が掛かり、重要な情報を見逃してしまいがちになる。CCの多いメールはチーム内コミュニケーションにとって“雑音”になるのだ。

 二つめは、過去のやり取りが分からないことだ。途中からプロジェクトに参加したメンバーへの情報の引き継ぎが難しくなる。過去のメールを転送する方法もあるが、履歴の把握は一苦労だ。特に、誤った内容のメールを後で訂正していた場合に困る。誤った情報が新しいメンバーに伝わってしまう場合もある。

 三つめは、メール送信から行動までの無駄が多いことだ。アジャイル開発やDevOps導入のコンサルタントである吉羽 龍太郎氏は「情報を送信して、相手が読んで理解して、合意の後に行動に移すというのがコミュニケーションのプロセスになる。メールは挨拶、引用、返信の確認などオーバーヘッドが大きい」と話す。

 四つめは、開発・運用ツールの通知が分散していることだ。IT現場は効率化を目指して、さまざまなツールの導入を進めてきた。例えば開発現場では、バージョン管理ツールやビルドツールに加えて、プロジェクト管理ツール「Redmine」、CI(継続的インテグレーション)ツール「Jenkins」などがよく使われている。

 各ツールで情報の更新があった場合の通知方法はツールにより異なる。メールが自動送信される場合もあれば、ツールの画面をWebブラウザーで閲覧する必要がある場合もある。「情報の確認方法もまちまちで、更新を見逃してしまったり、欲しい情報を探すのが大変だったりする」(吉羽氏)。

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