「全世界を100Gビット/秒の専用光ファイバー網で接続」「ルーター/スイッチ用半導体は自社開発」「一つのアベイラビリティゾーンで30万台のサーバーを運用」――。米Amazon Web Services(AWS)でデータセンター(DC)戦略を統括するJames Hamiltonバイスプレジデント(写真1)は2016年11月29日(米国時間)、「AWS re:Invent 2016」の基調講演で同社のクラウドの衝撃的な内部仕様を明らかにした。

写真1●米Amazon Web ServicesのJames Hamiltonバイスプレジデント
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 Hamilton氏はこれまでもAWSの内部仕様を明らかにしているが(関連記事:「AWSの裏側を数字で教えよう」、上級エンジニアが秘密を公開)、同社の大陸間ネットワークの詳細やネットワーク機器用半導体を開発している事実、自社開発サーバー/ストレージの詳細を明らかにしたのは今回が初めて。ライバルである米Googleも最近、DCや自社開発サーバーの詳細を明らかにし始めている。大手クラウド事業者がコンピュータメーカーを上回るハードウエア開発能力を持っているという「公然の秘密」が、いよいよ秘密では無くなってきた。

単一AZで30万台、全体ではサーバー数百万台規模か

 Hamilton氏はまず、AWSが運営するDCの成長速度を明かした。それによれば2015年の時点でAWSは、「2005年に『Amazon.com』を運用していたサーバーのキャパシティ」に相当する規模のサーバーを、毎日AWSのDCに追加しているのだという。その結果AWSのDCは、とんでもない規模にまで拡大している。

 AWSは現在、いくつかの「アベイラビリティゾーン(AZ)」において1カ所につき30万台のサーバーを運用しているという。AZはAWSにおけるDCの単位で、一つのAZは複数のDC建屋で構成する。AWSは現在、全世界14カ所の「リージョン」でクラウドサービスを提供しているが、一つのリージョンにつき3~5のAZが存在する。全てのAZに30万台のサーバーがあるわけではないが、AZが30以上あることを考えると、AWSが数百万台規模のサーバーを運用しているのは間違いない。

 全世界に14カ所あるリージョンに加え、60カ所以上あるCDN(コンテンツ・デリバリー・ネットワーク)などのネットワーク拠点は、100Gビット/秒の専用光ファイバー網によって相互接続している(写真2)。光ファイバー網は冗長構成になっていて、海底ケーブルが切断したり、中継拠点が使えなくなったりしても通信を継続できる。光ファイバー網は通信会社から借りるだけでなく、ハワイ・ニュージーランド間海底ケーブルなどは、AWSが出資もしている。

写真2●AWSの専用光ファイバー網
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 DC間ネットワークだけでなく、DC内ネットワークも強烈だ。AWSはDC内で使用するルーターやスイッチも自社開発しているが、それらは通信パケットを制御する「スイッチングチップ」と呼ばれる半導体(ASIC、特定用途半導体)のレベルまでAWS特注だったのだ。

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