2016年4月、東京・文京にある日本生命保険の銀行窓販事業部門のとある部署で、10人ほどの職員が集まり、一風変わった「入社式」が開かれた。

 入社したのは「日生ロボ美ちゃん」。ノートパソコンのなかで事務作業を担うソフトウエアロボットだ。RPAテクノロジーズ(東京・港)が提供するRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)専用ソフト「BizRobo!」のうえで、仕事をしている。

 RPAについては後で説明することにし、まずはロボ美ちゃんの働きぶりを見てみよう。

 ロボ美ちゃんの担当は、請求書データのシステム入力作業。それまでは職員が保険契約者から郵送されてくる保険金の請求書を見て、10ケタ近くある証券記号番号などを、業務システムに手入力していた。

 その仕事をロボ美ちゃんが一手に担う。職員が、請求書に印刷されている証券記号番号のバーコードをスキャンすると、ロボ美ちゃんは証券記号番号を認識。それを基に社内にあるほかのシステムから、必要なデータを収集。業務システムに入力していく。

 人手では1件当たり数分かかっていた入力処理も、ロボ美ちゃんがこなせば20秒程度で済む。単純な処理を繰り返すと人間は飽きを感じてしまうが、ロボ美ちゃんは集中力を欠くこともなく、黙々とこなす。この職場には女性職員が多いため、親しみを込めて「ロボ美ちゃん」と名付けられた。

 日本生命保険の神庭宏治金融法人契約部金融法人事務開発G課長補佐は「ロボ美ちゃんが来てから、職員は『契約パターンに応じて事務処理内容を変えて対応する』といった、人手でしかできない仕事に専念できるようになった」と話す。

●日本生命のあるオフィスでは、デジタルレイバー「日生ロボ美ちゃん」が働いている
●日本生命のあるオフィスでは、デジタルレイバー「日生ロボ美ちゃん」が働いている
1 デジタルレイバーとは、パソコン上で動くソフトウエアロボットのこと。事前に設定した手順に沿ってパソコンを使った処理を自動で行う。 2 2016年4月、入社式を経てメンバーに。先輩社員とともにオフィスワークにいそしむ。  3 導入に携わった大岩根誠専門課長(右)と神庭宏治課長補佐。「実体のないソフトウエアのロボットだが、親近感をもって現場に受け入れられている」と話す
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