ハイパーコンバージドシステム(HCI)は、スモールスタートして段階的にリソースを拡張できるのがメリット。オリックス生命保険は米ニュータニックスのHCI製品「Nutanix」を採用し、2015年からリソースプールを拡張しながら様々なシステムを構築してきた。

 Nutanix導入プロジェクトを率いるオリックス生命保険 常務執行役員の菅沼重幸氏は、HCI製品に目を付けた理由をこう説明する。「今後のIT基盤を考え、コモディティ化したPCサーバー上にアプリケーションを構築していく戦略を掲げた。ただし保険会社という性格から、個人情報保護やセキュリティが確保できるオンプレミス環境のIA仮想化基盤が必要で、以前から検討を進めてきた」。

写真1●オリックス生命保険 常務執行役員の菅沼重幸氏(左)、オリックス・システム システムコントロールグループ 生命アプリ基盤・統括チーム長の池田純二氏
写真1●オリックス生命保険 常務執行役員の菅沼重幸氏(左)、オリックス・システム システムコントロールグループ 生命アプリ基盤・統括チーム長の池田純二氏
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 サーバーやストレージ、ネットワーク機器を1ラックに搭載し、工場で事前設定して提供するコンバージドシステムは古くからある。ただ、「一企業でリソースプールを構えるとなると、コンバージドシステムはプールが大き過ぎるし、扱いづらい。HCIならスモールスタートして、スケールアウトできる」(菅沼氏)。

 HCIはPCサーバー(ノード)に、ハイパーバイザー(サーバー仮想化ソフト)、ストレージ仮想化ソフト、運用管理ソフトを組み込んだ構成で、導入設定やノード追加に手間は掛からない。同社はこの利点を生かし、SIベンダー主導のインフラ構築体制と決別する狙いもあった。「これまではベンダーに言われたサーバーを買いハイパーバイザーを入れてと、サイロ型の丸投げだった」と菅沼氏。これを改めて「インフラのコントロールを取り戻す」。

 Nutanixは、いくつかのHCI製品と比べて選定した。「サーバー仮想化のレベルはどの製品も同等だった。Nutanixはストレージ仮想化ソフトが優れているし、運用管理ツールの使い勝手も良かった」(菅沼氏)。「米ニュータニックスの幹部とも議論を重ね、こちらの要望を一部取り込んでもらった。対応のスピードを実感した」という(関連記事)。

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