固定電話番号を新規事業ごとに取る
[OpenFactory]

 事業を立ち上げる、あるいは新規に開業するなら、スマートフォンで使える0AB~J番号を取得する─。個人事業主やスタートアップ企業では、これが“新常識”になるかもしれない。

 デジタルプリント関連の事業を立ち上げたOpenFactory(東京世田谷区)の堀江賢司CEO(最高経営責任者)は、0AB~J番号が使えるスマホ向けサービスを新規事業に活用し始めた。同社はWebで染色・印刷柄などを選べる布の販売サイト「HappyFabric」と、有店舗型のデジタルプリンター工房「HappyPrinters」を展開している。堀江CEOがスマホ向けに取得した番号は2つある。2つの事業で、2つの電話番号を使い分けるためだ。

 番号取得のために、ニフティが提供する個人事業主向けのFMCサービス「ShaMo! by NIFTY BIZ」を契約した。現在は東京23区の「03」番号を取得できる。1台の端末に複数の電話番号を対応付けることも可能だ。

携帯番号では銀行口座を開設できない

 03番号を使う狙いは、事業の本格展開に向け、堀江CEOがすぐに電話に対応でき、かつプレスリリースに掲載したり商談に用いたりする電話番号として使うためだ(図8)。商談を進めるうえで「連絡先が携帯電話では法人として信頼されにくい」(堀江CEO)点は否めなかった。今後は各事業で取得した03番号を掲載する。

図8●新規事業を機動的に展開するため、0AB~J番号をスマホで活用
図8●新規事業を機動的に展開するため、0AB~J番号をスマホで活用
OpenFactoryでの活用例。新規事業を展開するに当たり、事業ごとに「03」番号を取得。問い合わせがあったら堀江CEOのスマホで着信させ、商談に機動的に対応するようにした。
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 堀江CEOには、0AB~J番号が新規開業に必要なもう一つの理由があった。複数の銀行で口座開設の手続きを取ったが、ネット専業銀行も含めて「携帯電話番号では法人用の口座を開設できない金融機関が多かった」(堀江CEO)。これらの金融機関での口座開設にも03番号を使う予定だ。

 堀江CEOは、父親が経営する堀江織物(愛知県一宮市)の取締役マーケティング部長としての顔も持つ。こちらの名刺には、個人の携帯電話番号を載せている。つまり堀江CEOのスマホには、事業によって3つの番号で連絡が入る。

 03番号で着信する場合はスマホのVoIPソフトが応答する。発信元番号に加えて着信している番号も表示される。どの番号で着信しているかによって事業に応じた商談も可能だ。

現在は東京23区の「03」番号を取得できる▼
2016年内には札幌市から大阪市、福岡市まで全国主要10都市の市外局番で始まる0AB~J番号を取得できるようにする計画。

卓上の社内専用スマホで1人1番号
[レッセ・パッセ]

 女性向けアパレルブランドを運営するレッセ・パッセ(東京都渋谷区)は2015年4月、本社オフィスにあった卓上のビジネスフォンを全廃して会社支給のスマホに切り替えた。電話の取り次ぎなどの手間を減らすほか、社員と店舗や取引先との連絡を密にしてビジネスを円滑にする狙いである。

 本社勤務の社員に支給したスマホは、社内専用で主に自席の机で使う。充電を兼ねたスタンドに置いて使う社員が多いという。退社時は会社に置いたままにして、留守電メッセージに切り替える。携帯して使うスマホの支給は、営業職や、社長など一部経営層に限る運用にした。

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