企業が社内業務にSNSを使うようになって、明らかになったメリットがある。上下関係や拠点の違いという壁を超えてフラットにコミュニケーションを取れるというものだ(図1)。
そのメリットを感じているビジネスパーソンの1人が、ウィルグループの新規事業・ベンチャー支援部門で、社内SNSとしてSlackを使っているインキュベーション本部の金谷建史マネージャだ。「上下関係なくフラットに書き込みをやり取りできるのがよい」と話す。
そんな出来事の1つを挙げよう。あるとき金谷マネージャは「育成対象になったベンチャー企業のために、集客する手段として、Facebookを使ったらどうだろう」という提案を、Slackに書き込んでみた。
すると、若手メンバーから「集客対象になる年代は、Facebook、使っていませんよ」といった書き込みが届いた。「25歳以上であればFacebookを使っているケースは多いが、集客対象である20代前半はやってませんよ」といった内容が続いていた。
これを受けて、金谷マネージャは、集客対象の若者たちが広く利用しているSNSで集客するようプランを変更。成果を出せた。「おそらく会議で意見を募っても、面と向かって言えないといった理由で、若手から意見は出てこなかったのではないか。Slackでフラットにコミュニケーションをしていたからこそ貴重な意見が得られた」と、金谷マネージャは振り返る。
企業の部下にとどまらず上司もフラットさが出せる
社内SNSがフラットなコミュニケーションに生きると感じているのは、部下だけではない。上司にもプラスに働く。
「企業の上司も、部下の働きに感謝していても、面と向かって言いづらいものだ。しかし、社内SNSでは、スタンプを使うなどして、感謝の気持ちを“デフォルメ”して伝えられるので、書き込みへの敷居は低い」。こう指摘するのは、バッファロー・IT・ソリューションズの後藤宏聡ITソリューション事業営業部長だ(写真1)。
後藤営業部長の職場では、2015年4月に、AOSモバイルの社内SNS「InCircle」を導入。営業部門の30人が日々、営業活動の情報共有に利用している。
InCircleでは、取り扱い商材ごとにグループを設定。その商材を扱う社員がグループに参画して、営業活動の報告などを現場から行っている。オフィスからはパソコンでアクセスするが、外回りのときは、スマートフォンから書き込みなどを行っている。