ユーザベースが2017年5月に発表した新サービス「FORCAS」が、非常にユニークな立ち位置にあると感じたので、今回紹介することにしました。同サービスのリリース前にFORCASの事業責任者でユーザベース日本事業統括執行役員の佐久間衡氏に、直接話を聞く機会がありました。詳しく聞いてみると、サービスの狙いを含めてFORCASが非常に新しい取り組みであることを理解できました。

FORCASのメーン画像
FORCASのメーン画像
(出典:ユーザベースWebサイト)
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日本ではABM関連サービスがうまく機能しない?

 以前にこの連載で紹介した通り、昨今のBtoBマーケティングを実践するに当たって、ABM(アカウントベースドマーケティング)という考え方が非常に重要になっています。ABMとは、ユーザー単位ではなく会社や組織単位でターゲットとなる顧客を捉え、ターゲットセグメントに適切なアクションを取る考え方や仕組みを指します。

 ABMの効果は非常にパワフルではありますが、これに向き合うにはほぼ必須条件としてSFA(営業支援システム)を完備した環境が求められます。というのも、獲得した潜在顧客に対して営業した結果、結局のところ製品やサービスが売れたのか売れなかったのかを営業部門でデータ化していなければ、ターゲットセグメントを特定していく作業が困難だからです。

 しかし、多くの日本企業はSFA完備しているとは言い難い状況です。SFAを導入してはみたが、現場ではExcel管理をしており、SFA上のデータがどうしても最新にならない、といった悩みもよく耳にします。

 大企業の場合は、部署ごとにデータの管理状況が異なっていることから、SFAを一元的に運用できずうまく機能させられないケースもあるでしょう。問い合わせ時点ではリード管理のためにSFA上で運用しているのに、営業部は全く使っておらず、営業結果が入力されないといった話です。

 このように多くの日本企業は、「SFAがうまく運用されない→ABMにも向き合いづらい」といった負のスパイラルに陥っています。

SFAがうまく運用されなとABMも向き合いづらい
SFAがうまく運用されなとABMも向き合いづらい
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FORCASはSFAが不完全でも機能するABMサービス

 数カ月前のこと、私はこんな悩みをある企業から相談されました。「SFAが完備されていない中でもうまく活用できるABMサービスはないのでしょうか」――。

 そのときの私の答えは、「難しい」というものでした。というのも、そもそも多くのABMサービスはデータと機械の力を借りてターゲットセグメントを導き出したり、スコアリングしたりするものだからです。

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