膨大なデータで顧客を深く理解し、ここぞという瞬間を捉えて商品やサービスを届ける──。デジタルマーケティングが企業競争力に直結するという意識が急拡大している。日本最強のモノ作り企業、トヨタ自動車も本腰を入れ始めた。 IoT(インターネット・オブ・シングズ)やアドテク、MA(マーケティング・オートメーション)といった技術の進化で、ITのマーケティングに占める役割はどんどん広がる。既存の企業情報システムの枠外で急伸するデジタルマーケティングの最前線を追う。
今こそデジタルマーケティング
トヨタが本気になった理由
目次
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対面とITの融合でおもてなし 鉄道好き以外に訴求する
唐池 恒二 氏 九州旅客鉄道(JR九州) 代表取締役会長
3泊4日で一人50万円台という破格にもかかわらず、申し込み倍率が30倍という、九州旅客鉄道(JR九州)人気観光列車「ななつ星in九州」。生みの親である唐池恒二氏は、「鉄道好きではない」と公言。自分が乗りたくなる列車を作ったことが成功の秘訣と説く。
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図解・アドテクの舞台裏
デジタルマーケティングの基礎を知る
2015年に前年比10.2%増の1兆1594億円となった日本のインターネット広告市場(電通調べ)。現在は消費者の興味や関心を推定し、最適な広告を瞬時に配信する手法が主流だ。
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システムで作る好循環
限られた人員で顧客一人ひとりに合わせたマーケティング施策を実践する。その基盤技術が「マーケティングオートメーション(MA)」だ。顧客とのあらゆる接点からデータを収集、分析し、各施策に対する結果を可視化する。MAツールの活用には、IT部門とマーケティング部門の協力関係が欠かせない。
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“今”を逃さず心をつかむ
トヨタだけではない。多くの企業がデジタルマーケティングに取り組む。成果が上がっているのが、デジタルで接客をWebにまで広げ、顧客を呼び込む領域だ。機械学習やIoTといった技術が顧客の気分の変化を捉え、購入を促す。リアルタイムで過去の履歴を分析し、個別のニーズに応えるわけだ。
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広告宣伝だけでは限界
トヨタ自動車がデジタルマーケティング活動に本腰を入れている。全社の基盤システムを駆使し、ネットとリアルの両面で顧客に近づく。マーケティング部門とIT部門が両輪となって、機会損失を防ぐ。その取り組みからは、最先端デジタルマーケティングの要諦が見えてくる。