3泊4日で一人50万円台という破格にもかかわらず、申し込み倍率が30倍という、九州旅客鉄道(JR九州)人気観光列車「ななつ星in九州」。生みの親である唐池恒二氏は、「鉄道好きではない」と公言。自分が乗りたくなる列車を作ったことが成功の秘訣と説く。

唐池 恒二(からいけ・こうじ)氏
唐池 恒二(からいけ・こうじ)氏
1977年、京都大学法学部卒業。同年、日本国有鉄道(当時)入社。九州旅客鉄道 総務部勤労課副長、同 船舶事業部営業課長、ジェイアール九州フードサービス代表取締役社長などを歴任。2009年、JR九州代表取締役社長。14年から現職。「ななつ星in九州」は企画立案から陣頭指揮を執った。近著に「鉄客商売」(PHP研究所)がある。

「ななつ星in九州」は日本初の豪華な周遊列車として有名です。この企画はどうやって生まれたのでしょうか。

 実は発想自体は30年ほど前からありました。当時の社外の友人にアイデアが豊富な人がいて、ヒントをくれたんです。

 そのころは寝台列車のブルートレインがどんどん廃止または縮小されていた時期でした。友人いわく「カップル用の豪華な寝台列車を走らせたら絶対にヒットする」と。そのころは実現できませんでしたが、ずっと暖めていたわけです。

 ななつ星のほかにも、当社は「デザイン&ストーリー列車」と呼ぶ観光列車をいろいろと運行しています。福岡と温泉地の湯布院を結ぶ特急「ゆふいんの森」や、全面展望の車両から阿蘇山の景観を楽しめる「あそぼーい!」などです。

 これらで目指しているのは、列車自体を観光資源にすることです。例えば湯布院へ福岡から行こうとすると、自動車が一番便利なんです。九州の移動手段と言えば、圧倒的に自動車が強い。わざわざ鉄道を選んでくれるのはものすごく奇特な方でね。ドア・トゥ・ドアで高速道路を使っていけばあっという間に、鉄道より早く着きますからね。

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