トヨタ自動車がデジタルマーケティング活動に本腰を入れている。全社の基盤システムを駆使し、ネットとリアルの両面で顧客に近づく。マーケティング部門とIT部門が両輪となって、機会損失を防ぐ。その取り組みからは、最先端デジタルマーケティングの要諦が見えてくる。
「マーケティングは経営そのものだ」。トヨタ自動車の佐々木英彦コネクティッドカンパニー コネクティッド統括部 インターネット企画室 主査は、こう断言する(写真1)。マーケティングは単なる販促や宣伝ではなく、「企業が顧客とコミュニケーションする活動全て」(同)とみているからだ。
市場調査から宣伝や販促、販売、アフターサポート。あらゆる場面の対話を通じて顧客を徹底的に知る。結果を全社が共有し、顧客の変化を予測して、商品の企画、設計、製造などの部門が動く体制を構築。企業自体を顧客起点で変えていく。佐々木主査はマーケティングを、そんな全社活動ととらえている。
売上高28兆4000億円、営業利益2兆8500億円(いずれも2016年3月期、連結)、連結の従業員数は34万8000人。日本最強のモノ作り企業であるトヨタが、デジタルマーケティングに本腰を入れ始めた。顧客の変化を予測して全社がリアルタイムに動く。