インターネットやWANサービスなどの外部のネットワークと、社内ネットワークの境界に設置するルーターは、「ルーター/ブロードバンドルーター」と「UTM▼/ファイアウオール」の2ジャンルに分けて使用する製品のベンダーを尋ねた。さらに、Webサーバーの防御に使う「Webゲートウエイ」や標的型対策で注目される「サンドボックス型製品」の使用状況も調べた。
ヤマハがルーターの1位に
ルーター/ブロードバンドルーターには、企業向けルーター製品と家庭向けブロードバンドルーターのベンダーが上位に入った(図2-1)。1位は、使用率32.8%のヤマハ。調査開始から3年連続1位となった。2位には、使用率20.4%のシスコシステムズが入る。この2社は、ともに企業向けルーターを出荷するベンダーである。
3位のNEC/NECプラットフォームズと4位のバッファローは、どちらも企業向けルーター製品と家庭向けブロードバンドルーターの両方を出荷するベンダーだ。従業員数の少ない拠点のネットワークは、インターネットVPN▼を使って本社のネットワークとつなぐケースが多い。そういった拠点はインターネットにつなぐだけで十分と考えて、より低価格な家庭向けブロードバンドルーターも使われる。ただ前回調査と比べると、使用率はNECプラットフォームズが約4ポイント、バッファローが約8ポイント減少した。企業で家庭向けブロードバンドルーターを使用するケースが減ってきている兆候かもしれない。
「管理しやすい」が高評価
3年連続で1位になったヤマハと別のベンダーにどんな違いがあるのか。製品選択の理由を、ルーターを使用する企業全体とヤマハ製品ユーザー、ヤマハ製品以外のユーザーの三つに分けて比較した(図2-2)。
ルーター使用企業全体では、選択理由の上位三つが「所望の機能を搭載している」(38.4%)、「価格が安い」(36.2%)、「管理しやすい」(25.7%)だった。1位と2位は、ヤマハ製品ユーザーとヤマハ製品以外のユーザーでも変わらなかった。
回答者を三つに分けた比較で大きく差が付いたのは、「管理しやすい」「評判が良い」の二つの理由だ。この二つは、ヤマハ製品ユーザーのほうがヤマハ製品以外のユーザーより、「管理しやすい」で23.6ポイント、「評判が良い」で22.5ポイントも高かった。
ヤマハの楽器・音響営業本部 音響事業統括部 営業推進部 国内営業グループ 主幹の平野 尚志氏は、「過去の製品からずっと管理用コマンドを継承しており、古くからのユーザーが長く使い続けられるようにしている。新規のユーザー向けにとっつきやすい管理用Webインタフェースを用意するなど、改善している」と説明する。
Unified Threat Managementの略。ファイアウオールやウイルス検知といった複数のセキュリティ機能を持つネットワーク機器。
IPsecなどの暗号化通信を使って、離れた拠点のネットワークを、インターネットを介してつなぐ技術。