日経NETWORKでは、2014年から企業ネットワークに携わる人に対して、アンケート調査を毎春実施している。本特集は、2016年春に実施した調査結果から、企業ネットワークでよく使われる機器ベンダーをジャンル別に見ていく。
まずは、企業ネットワークでは欠かせないスイッチを取り上げる。スイッチは、まず「レイヤー2スイッチ」(L2スイッチ)と「レイヤー3スイッチ」(L3スイッチ)に分け、L2スイッチはさらに用途別に「アクセススイッチ」と「フロアスイッチ」に分けた計3区分で調査した。それぞれを見ていこう。
アクセスはアライドが初の1位に
アクセススイッチとして使うL2スイッチには、数千円で入手できるものから、管理機能などを搭載して十万円を超えるものなど、幅広い製品がある。今回の調査では、アライドテレシスが38.7%で1位になり、2位には38.0%のバッファローが入った(図1-1)。過去2回の調査では、バッファローが2回とも40%を超えて1位だった。バッファローは前回と比較すると約7ポイントを落とし、アライドが4ポイント伸ばして逆転した。
製品を選んだ理由を尋ねる質問(複数回答)では、「価格が安い▼」と答えた人が48.8%と最も高く、「所望の機能を搭載している」「導入済みの製品と同じベンダーだから」が続いた。アライド製品ユーザーに絞ると「価格が安い」と答えた人は56.0%、バッファロー製品ユーザーで「価格が安い」と答えた人は76.2%で全体より大幅に高い。アライドとバッファローはどちらも、数千円で購入できる安価な製品を多数ラインアップしている。業務用パソコンの台数に合わせて大量に導入する機器なので、価格にこだわった企業が両社の製品を選んだのだろう。
3位シスコは機能重視が目立つ
3位には、27.9%のシスコシステムズが入った。
シスコ製品ユーザーの選択理由で最も多いのは、「導入済みの製品と同じベンダーだから」(31.6%)だった。この後に、「機能が豊富」(21.8%)、「所望の機能を搭載している」「管理しやすい」(どちらも21.1%)と続く。ネットワーク機器市場で最大シェア▼を持つ同社だけあって、統一して導入する企業が多いようだ。さらに、機能重視の選択理由も目立つ。
調査では、アクセススイッチのイーサネットポートが対応するデータ転送速度も尋ねた(複数の速度に対応する場合はすべてを回答)。回答者ごとに最も速い速度を集計した結果が図1-2だ。
10Gビット/秒が6.6%、1Gビット/秒が72.5%で、全体の8割近くが1Gビット/秒以上に対応したアクセススイッチを使っていた。
調査での正確な選択肢は、「価格が安い(コストパフォーマンスが高い)」である。
調査会社IDC Japanが2016年6月1日に発表した国内の企業向けネットワーク機器市場における2015年のベンダー別シェアは、シスコシステムズが47.8%で首位だった。スイッチ、ルーター、無線LAN機器のジャンル別でも、シスコがすべて首位。