現在のパッケージ導入プロジェクトでは、「Amazon Web Services」などのパブリッククラウドをインフラとして利用するケースが増えている。クラウドが出始めたころは、ERPで保持する機密性の高い情報を社外に出さない方針の企業が多かった。

 しかしERPのような基幹系システム向けのパッケージであっても、インフラにクラウドを選択するケースが一気に増えている。当初はITベンダーが提供するプライベートクラウドが中心だったが、パブリックにシフトしている。

 一方で、SaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)型のERPといったクラウドサービス型のアプリケーションを利用している事例は、ごく少数にとどまる。複数の企業で同じアプリケーションを利用し、アドオン開発に制約があるためだ。

 最近は大手ERPベンダーをはじめとして、各社がクラウドアプリケーションの拡販に力を入れており、今後はこれらを採用する企業が増加してくると予想される。

阿部 武史(あべ たけし)
大手メーカーで社内SE、大手SIベンダーでERPコンサルタントを経験し、スカイライトコンサルティングに入社。大手からベンチャーまで、幅広い企業に対するコンサルティングを提供。経営管理領域を中心に、IT戦略立案から全社的な経営改革、業績管理制度の構築、業務改革、システム導入、新規事業の立ち上げなどのプロジェクトに携わる。中小企業診断士。