「Amazon Aurora」(Aurora)は、2014年に米ラスベガスで開催された米AWS(アマゾン・ウェブ・サービス)のイベント「re:Invent 2014」で発表されたデータベースサービスである。2015年7月には米国と欧州の計三つのリージョンで使用可能になり、2015年10月からは東京リージョンでも使用可能になった。

 AWSによると、AuroraはオープンソースのRDBMS(リレーショナルデータベース管理システム)である「MySQL」と互換性がある。「MySQLよりも最大5倍のパフォーマンス」を発揮し、「商業用データベースのセキュリティ、可用性、および信頼性を10分の1のコスト」で利用できるという。何らかのRDBMSを使ってシステムを開発/運用している人にとっては、気になる存在だろう。

 しかし、日本国外を含めても、公開されている採用例は決して多くはない。具体的な情報となればさらに限られているのが現状である。特に企業情報システムの担当者にとって、自社システムで採用できるのか判断が難しいのではないだろうか。

 筆者は、ITベンチャーのSocketに勤務するエンジニアである。Socketが運営するWeb接客プラットフォーム 「Flipdesk」でAuroraを検証し、実際のサービスで運用している。その経験から、どのような場面にAuroraが向いているのか、どのように使うべきかを解説する。

新たなRDBMS市場を作り出す

 Auroraは、MySQL互換のデータベースを、AWSが運用保守込みで提供するフルマネージドサービスである。AWSは、「商業用データベース」を機能面やコスト面で上回るとしている。

 これまで企業システムでは、米オラクルの「Oracle Database」や米マイクロソフトの「SQL Server」をはじめとした商用データベースが採用されることが多かった。近年、両者の競争は激しさを増しており、オラクルが2015年9月に発表したOracle Databaseのライセンス体系変更や(関連記事)、2016年3月にマイクロソフトが発表したOracle Databaseからの実質無償移行プランは大きな話題となった(関連記事)。

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