自社サイトやサービスサイトと紛らわしいサイトが、立ち上がることがある。あるいは、自社ドメイン名のgTLD違い(.jp、.com、.org、.asiaなどだけ異なる)や第2レベルドメインが異なる(.co.、.or.、都道府県別ドメイン名など)ドメイン名を取得したので買わないか、というメールを受け取ったことはないだろうか。

 このようなサイトを発見したりメールを受け取ったりしたら、どうすればいいだろうか。もちろん状況によって対策は異なる。順を追って整理してみよう。

フィッシングサイト以外はドメイン名紛争処理で対応可能

 紛らわしいドメイン名、URLで問題になる原因の筆頭は、フィッシングサイトである。自社ドメインにわざと誤字をまぜたURLや、自社ドメイン名の文字列を途中に含むURLを持つ偽サイトに、ターゲットをメールなどで誘導。正規ログイン画面に偽装したサイトで、クレジットカード番号や暗証番号、パスワードを盗む攻撃だ。

 フィッシングサイトは、ユーザーからの通報やISP、JPCERT/CCなどしかるべき機関からの連絡で発覚することもある。いずれにせよ、フィッシングサイトは攻撃を受けている企業・組織単独では対処しようがない。JPCERT/CC、IPA、警察(サイバー課)などに相談し、通信事業者やISPなど関連機関の協力のもと、フィッシングサイトを閉鎖(テイクダウン)してもらう必要がある。

 では、競合他社や全く関係ない他社のサイトが、自社ドメインと紛らわしい場合はどうだろうか。相手に悪意がなくても、例えばそれがアダルトサイトなら、企業ブランドに悪影響を与えることがある。

 ドメイン名は、実質的には商標と同様と考えられるが、法的には明確に商標といえない状況にある。ドメイン名でも文字商標として登録してあれば、商標法や不正競争防止法をベースとした民事訴訟の対象になる可能性はある。文字商標の登録がなければ、しかるべき調停機関でドメイン名紛争処理を行う必要がある。

 ドメイン名紛争は、国内であれば、日本ネットワークインフォメーションセンター(JPNIC)に申し立てを行い、工業所有権仲裁センターなどの機関で裁定してもらう。海外ドメインならば、WIPOが申し立ての窓口となり、指定の裁判所または機関を通じて当事者と解決を図ることになる。

買い取りの打診を受けたとき

 判断が難しいのは、「似たドメインを取得したので買わないか?」という連絡を受けたときだろう。買い取りの打診だけでは相手の意図は図りかねるし、そもそもそのドメインを買わなくても問題ないように思える。果たしてどうなるのか?

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