ビットコインなど仮想通貨の中核技術として注目されたブロックチェーン。仮想通貨の枠を超えて情報システムの新たなアーキテクチャーという地位を目指し始めた。開発の中核には米IBM、米インテルなどの大手ITベンダーや各国の大手金融機関の名前が並ぶ。
「IBMがここまで本気だったとは――」。複数の国内ITベンダー技術者が異口同音に驚くのは、米IBMがブロックチェーンに掛ける意気込みの強さだ。
米IBMは、ブロックチェーンのOSSを開発するThe Linux Foundationのプロジェクト「Hyperledger Project」の中心企業として、30人以上の技術者を投入(図4)。スタートアップ企業と共同開発したOSS「Fabric」の改良に常時コミットさせている。同プロジェクトにはプレミア会員として米インテル、米アクセンチュア、日立製作所、富士通が名を連ね、NECやNTTデータも一般会員として参画する。
ユーザー企業も自ら技術開発や実証実験に乗り出している。米金融大手のJPモルガンは2016年3月、同プロジェクトに独自のブロックチェーン「Juno」を提案した。国内では日本取引所グループが証券取引の決済・清算業務にFabricベースのブロックチェーンを適用する実証実験を実施しているほか、ソフトバンク、SBIグループなど複数の金融・非金融企業が実証実験を行っている。