ITproマーケティングが開催した「BtoBセールス&マーケティングSummit 2016 Autumnで、Nexal 代表取締役 兼 ビジネスコンサルタントの上島 千鶴氏は、人工知能(AI)を活用して見込み顧客を見つける手法が注目されてきた背景と現状について解説した。「案件見込み顧客をAI(人工知能)で見つける ~ABMの理想と現実~」と題した講演で、機械学習によるパターンマッチングの活用では「仮説立案とデータセットの作り込み」が重要であることを強調した。

多くの企業が抱える課題は「ターゲットを絞り込めない」こと

Nexal 代表取締役 兼 ビジネスコンサルタント 上島 千鶴氏
Nexal 代表取締役 兼 ビジネスコンサルタント 上島 千鶴氏
(撮影:都築雅人)
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 現在、BtoBマーケティングに関連したさまざまな用語が飛び交っている。「MA(マーケティングオートメーション)」をはじめ、「ABM(アカウントベースドマーケティング)」、「CRM(カスタマーリレーションシップマネジメント)」、「CXM(カスタマーエクスペリエンスマネジメント)」などだ。

 上島氏は「今、大切なことは原点回帰であり、横文字に踊らされないこと。自分たちの会社の課題が何で、それをどう解決したいのか、そのために必要なツールは何かを改めて考え直すべきだ」と講演を切り出した。

 上島氏はまず、自らのコンサルティング経験などを基に、国内企業の状況を解説した。企業では営業体制を「アカウントセールス」、「エリアセールス」、「プロダクトセールス」などに分け、それぞれでターゲット企業を絞り込んで営業活動を展開しているのが一般的だ。

 上島氏によれば、マーケティングの基本ステップには「セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニング」がある。セグメンテーションとは「市場の顧客ニーズごとにグループ化すること」、ターゲティングは「競争優位を得られる可能性の高い分野を絞ること」、ポジショニングとは「顧客に提供できる利益や価値を検討して自社のポジションを確立すること」だ。

 こうしたステップを踏まえて、企業には「マーケットを細分化し、自社が勝てるエリア、自社の強みを発揮できるターゲットアカウントを絞り込んでいく取り組みが求められている」(上島氏)。しかし現在、多くの企業では「ターゲットを『絞り込めない』という課題を抱えている」という。

 その背景には、企業の業種が複雑化・多様化していることや、規模が小さくても売り上げが大きい企業が多数存在するようになったことなどがある。上島氏は「御社が狙うターゲット企業はどこですか、条件は何ですかと聞いても、答えが明確にならない企業が多い」と言う。

大切なのはデータセットの「作り込み」

 多くの企業がこうした状況に置かれている中、「AIを活用して効率的に見込み客を見付けられないかという取り組みが注目されている」(上島氏)。上島氏のいうAIとは、機械学習によるパターンマッチングのことだ。

 上島氏は、機械学習によるパターンマッチングを活用するために必要なステップとして、大きく四つの段階を示した。まずは「データセットを作り」、次にデータセットを基に「セグメントパターンを見付け」、「パターンにマッチするかを判定し」、「判定結果を自動的に出力する」だ。パターンマッチングには、「クラウドで提供されている機械学習ツールをはじめ、BI(Business Intelligence)ツールも利用できる」(上島氏)という。

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