新技術を採用において、必須となる作業がPoC(Proof of Concept)だ。要件定義の前段階で適切に実施されなければ、後々大きな見直しになる危険がある。しかし、その正しい進め方はあまり知られていない。実施手順と検証すべき観点を解説しよう。

 新技術や経験のない技術は注意すべきポイントがはっきりしておらず、設計や開発を始めてから要件に合わないことが判明するリスクがある。新技術がシステムの実現に重要な位置を占めるときは、システムのアーキテクチャーの見直し、あるいは企画の見直しまで必要になりかねない。早い段階で実機検証して要件に合うかどうかを明らかにするのが「PoC」(Proof Of Concept:概念検証)だ。

 新技術の採用で必須となるPoCだが、その実施手順、検証すべき観点、成功のポイントなどを理解している人は少ない。PoCによる検証が不十分だと、実際のデータで性能が出なかったり、リリース直前の運用試験で想定通りに動かなかったりといった、さまざまなトラブルに直面する(図1)。実際の運用を考えて、拡張時の動きや障害時の挙動などを確認しなければ適切なPoCとはいえない(図2)。

図1●検証が甘いと発生するトラブル
図1●検証が甘いと発生するトラブル
「サンプルコードで使い方を確認するだけ」「少数のサンプルデータで性能を測定するだけ」といった不十分な検証はトラブルを生む
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図2●PoCで確認すべきこと
図2●PoCで確認すべきこと
使い方の確認や性能測定だけがPoCではない。実際に運用したらどうなるかという面も考慮して検証する
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 本稿では、筆者のチームが多くの経験を重ねてたどり着いた、失敗しないPoCの進め方を解説しよう。

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