シャシー型のスイッチは一般的に、多数のポートを収容でき、転送容量もボックス型より大きい。大企業やデータセンターなどのネットワークの中心となるコアスイッチとして使われるケースが多い。
集中型と分散型が同居する
まずシスコシステムズのシャシー型L3スイッチ「Cisco Catalyst 6500」の内部を見てみよう(写真1-8)。この製品は主に、企業や大学などの構内ネットワーク(キャンパスネットワーク)のコアスイッチ向けに使われる代表的なスイッチだ。
Catalyst 6500が最初に登場したのは1999年。かなり古い製品シリーズだが、モジュールを入れ替えられるというシャシー型の特性を生かし、現在でも活躍している。
Catalyst 6500は、ラインカードとスーパーバイザー(Sup)という2種類のモジュールから構成される。ラインカードは、ポートを収容するモジュールである。Supは、ルーティングプロトコルを使ってルーティングテーブルを作成したり、ラインカード同士をつなぐスイッチファブリック▼としての役目を果たしたりする。
新旧のアーキテクチャーが同居しているというのが、Catalyst 6500の特徴である。具体的には、Supで集中的にフォワーディング処理を行う「集中フォワーディング」と、各ラインカードで分散的にフォワーディング処理を行う「分散フォワーディング」の2つである。これらは設定情報(コンフィグ)で切り替えることが可能だ。
この製品が登場した当初は、前者の集中フォワーディングが使われていた。このため、Supにはスイッチファブリックのほか、フォワーディングエンジンも搭載されている。集中フォワーディングの場合、受信したパケットは各ラインカードのバッファーに格納され、ヘッダー情報だけが「DBus」というバスを通ってSupに送られる。そこで検索処理を実施する。出力ポートなどの結果は「RBus」というバスを経由してラインカードに返される。ラインカードのインタフェースが高速化した今では、このDBusやRBusがボトルネックになるため、基本的には分散フォワーディングを利用することが多いという。
分散フォワーディングの場合は、各ラインカードに搭載されたフォワーディングエンジンで検索処理を行い、その結果に基づいてパケットが出力側のラインカードに送られる。
シャシー型のスイッチやルーターで、複数のラインカード同士を接続するためのモジュール。