現在ほとんどの社内システムやネットワークは、IPv4で運営されている。しかしIPv6の環境整備が不要かというと、そうではない。例えば第1回で紹介したように、iPhone向けのアプリ開発では、IPv6への対応が不可欠だ。IPv6対応が必須の領域は、今後も増えていくだろう。
IPv4主体の環境にIPv6を対応させていくとなると、様々な問題や課題が発生する。第3回の今回は、IPv6への移行の際に考慮しておくべきポイントを紹介しよう。
パイロット導入で問題を洗い出す
まず検討すべきは、最小構成でIPv6の導入を始めることだ。ルーターなどの機器は対応しているか、IPアドレスの配布・管理方法はどうするのかなど、多岐にわたる調査、確認を踏まえてパイロット導入を実施する。問題点を把握し、対策を施しながら導入範囲を拡大していくことが大事だ(図3-1)。
IPv4とIPv6の混在環境では、事前に予測しづらい問題が起こり得る。例えば、無線LAN環境のすべての端末にグローバルIPv6アドレスを割り当てたとき、ネットワーク内のパソコン同士で多くの通信が発生すると、上位のWi-Fiルーターの負荷はIPv4と2重に発生する。ルーターの負荷が軽くなるはずのIPv6を導入したのに、逆に負荷が高くなり、IPv6をあきらめることになりかねない。
こうした問題を最小限に抑えるには、パイロット導入により改善のPDCA▼を繰り返していくのが最も安全で、確実である。
▼PDCA
Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)の略。四つのステップを繰り返して継続的な改善を実現する手法のこと。
Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)の略。四つのステップを繰り返して継続的な改善を実現する手法のこと。