ネット産業で当たり前のように使われれてきた「Web API」。その経済圏(エコノミー)を生む力が、他の産業にも浸透し始めた。今や、リアルな金融や自動車すらもWeb APIによってコントロールされる時代。ソフト開発やWebサービスを支える技術用語に、世界中の経営者が熱視線を浴びせかけている。
「とっかえひっかえ色んな服を楽しめるなんて素敵」「自分ではまず選ばないスタイルにもチャレンジできるのが新しい」――。女性向けファッションレンタルサービス「airCloset」が人気を博している。2015年2月のサービス開始から1年強で、会員数は8万人を超えた。
プロフィールを入力すると、スタイリストの選んだ服が3着送られてくる。着終わったら送られてきた箱に入れて返送するだけ。クリーニング不要で送料もかからない。
提供元のベンチャー企業は、実は倉庫も物流も持たない。斬新なサービスを提供できる秘密は、老舗の倉庫会社である寺田倉庫が公開するWeb API(アプリケーション・プログラミング・インタフェース)の活用にある。
寺田倉庫は2012年にスタートした個人向け保管サービス「minikura」に、倉庫・物流機能を外部企業がネット経由で活用できる工夫を施している。出庫・配送や着荷・入庫といった基本的な保管・物流の仕組みから、商品撮影やクリーニングなど、さまざまな指示を外部事業者がWeb API経由で出せるようにしているのだ。