注目度が高い割に使いこなしが難しいのが自然言語処理技術を使ったAI(自然言語AI)。だが、音声認識などとの組み合わせで得られるビジネス上のメリットは大きい。先行ユーザーはIT企業と手を組み、対象分野を絞って実用化に取り組んでいる。

[三菱UFJ銀×IBM]電話応対の置き換え狙い複数技術を併用

 三菱東京UFJ銀行は2016年3月、異なる二つの自然言語AIを使い、2種類の「銀行取引Q&A」サービスの提供を始めた。

 一つはLINE公式アカウント向けのQ&Aサービスで、IBMのWatsonが提供するAPI(アプリケーション・プログラミング・インタフェース)「NLC(Natural Language Classifier:自然言語分類)」を使う。もう一つはスマートフォンアプリで、アドバンスト・メディアの音声認識AIと自然言語分類AIを利用する(図10)。

図10 三菱東京UFJ銀行が展開する個人顧客向けQ&Aサービス(左がLINE公式アカウント、右がスマホアプリ)
二つの質問応答サービスを同時展開し、技術の特性を見極める
図10 三菱東京UFJ銀行が展開する個人顧客向けQ&Aサービス(左がLINE公式アカウント、右がスマホアプリ)
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 どちらもWebサイトに公開したFAQ(よくある質問とその回答)を基に、銀行サービスに関わる利用者の質問に回答する。「質問テキスト」と「質問ID(「口座を開きたい」「証券取引を始めたい」など、FAQに示した質問の通し番号)」のセットを学習させることで、任意の質問テキストについて意図を理解して、対応する質問/回答を出力する。

 問題は、現状の自然言語処理技術の水準では、単純にFAQのデータを学習させただけで、あらゆる言い回しの質問に適切な回答を返すAIは実現できない点だ。三菱東京UFJ銀行はQ&Aサービスの開発に当たり、二つの工夫を施した。

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