第3次人工知能(AI)ブームは衰える気配を見せない。囲碁の世界でプロ棋士に圧勝するなど、話題も豊富だ。AIをビジネスに活用しようとする企業も増えつつある。過剰な期待を抱かず、現在の実力を見極める姿勢が欠かせない。

 「商談数は約4カ月で128件に達した。製造、金融、流通、通信、公共といった幅広い業態から引き合いがある」。富士通 AI活用コンサルティング部の山影譲部長は、同社が2015 年11月に発表したAI活用コンサルティングサービスについてこう語る。

 2013年ごろに本格化した第3次AIブームは2016年も勢いが衰える気配がない。3月中旬には、神経細胞を模した多層ニューラルネットによる機械学習「深層学習(ディープラーニング)」を適用した米グーグル Deep Mindの囲碁AI「AlphaGo」が世界最強と称されるプロ棋士との5番勝負で4勝1敗と圧勝した。

 日本政府もAI研究や産学連携の体制を強化している。産業技術総合研究所、情報通信研究機構に続き、4月には理化学研究所がAI研究拠点「革新知能統合研究センター」を新設すると発表した。

 研究開発と並行して、AIは本格的な実用化を迎えつつある。三菱東京UFJ銀行は2016年3月、LINE公式アカウントの質問応答サービス「銀行取引Q&A」をリリースした。米IBMのAI技術基盤「Watson」を利用し、「主人の名前で振り込みたいが何を持っていけばいいの?」といった質問に対し、確度の高い回答を三つ挙げる。警視庁やガリバーインターナショナル、みずほ銀行、アサヒグループホールディングスなども深層学習や自然言語処理の実用化に挑んでいる。

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