LIXILはまだメインフレームが残っており、情報基盤をしっかり作る必要があります。前社長の藤森(義明 LIXILグループ 取締役代表執行役社長兼CEO)は、350億円という大きなIT投資を決めました。それも独SAPの基幹業務パッケージ(ERP)だけでなく、販売支援(SFA)システムやサプライチェーン管理(SCM)システムなど、あらゆるシステムを順次刷新しようとしています。
これだけ多数のシステムを刷新するという機会を生かし、社内のどこにどんなデータがあるかを一元管理するマスターマネジメント、データマネジメントに取り組んでいます。データベース項目を標準化し、ある端末からデータを更新すれば、マスターのデータベースも、ほかの全てのシステムにもデータがほぼ同時に配信・反映される仕組みを目指します。端末はパソコンに限らず、スマートフォン(スマホ)などもアクセス可能にします。
データ散在ではIoTも無意味
近年日本企業の間でIoTやビッグデータに注目が集まっていますが、社内のデータをきちんと取れないような体制では意味がありません。定義の違うデータが社内のあちこちに散在している状況なら、まずはデータマネジメントが先です。
欧米の会社は1995年頃から、SAPなどのERPパッケージや社内LANを積極的に導入して業務を標準化し、データマネジメントをグローバルに進めてきました。そうした取り組みを続けている企業が今、IoTやビッグデータに取り組むのは当然です。基本的に社内のデータは、非構造化データではなく構造化データにできると思います。そこを整えたうえで、社外のデータも取得して組み合わせれば、今までできなかった多彩な分析ができます。
例えば売り上げが未達だったとき、言い訳や気合いの問題ではなく、未達の原因を科学的に分析して次の行動を起こす。そしてマネジメントサイクルを短くするよう、日本の会社も取り組むべきです。