写真1●大阪ガス リビング事業部 商品技術開発部 スマート技術開発チーム ネットワーク対応技術グループ チーフの八木政彦氏
写真1●大阪ガス リビング事業部 商品技術開発部 スマート技術開発チーム ネットワーク対応技術グループ チーフの八木政彦氏
(撮影:渡辺 慎一郎=スタジオキャスパー)
[画像のクリックで拡大表示]

 2016年6月1日から3日にかけて開催された、Amazon Web Services(AWS)の国内の年次イベント「AWS Summit Tokyo 2016」。初日の講演では大阪ガスの八木政彦氏(リビング事業部 商品技術開発部 スマート技術開発チーム ネットワーク対応技術グループ チーフ)が、「家庭用燃料電池エネファームのIoT(Internet of Things)を活用した新サービス構築」をテーマに登壇(写真1)。AWS上にIoTシステムを手組みで開発する中での苦労や工夫について語った。

 大阪ガスがAWS上に構築したのは、家庭用燃料電池エネファームのIoT基盤だ。2016年4月に発売した「エネファームTypeS」を対象としている。同製品はインターネット接続機能を備え、家庭内の無線LANルーターなどを経由してAWSとデータをやり取りできる(写真2)。

写真2●AWS上に構築したIoT基盤を使ったエネファームのサービス概要(サマリー)
写真2●AWS上に構築したIoT基盤を使ったエネファームのサービス概要(サマリー)
[画像のクリックで拡大表示]

 エネファームは都市ガスの主成分であるメタンから水素を取り出し、空気中の酸素と化学反応させることで電気を取り出す。同時に、発電で発生した熱を給湯や床暖房などに流用する。

目的は修理作業の効率化

 エネファーム向けのIoT基盤を構築した目的の一つは、修理作業の効率化だ。八木氏によると、「燃料電池の故障診断には高度な技術が必要。以前は担当者が現場でPCを接続して、燃料電池内部のデータを収集し、原因を解析していた」という。解析に時間が掛かるのに加え、事前に故障原因が分からないため、修理用の部品を余計に準備する必要があった。

 IoT基盤を構築したことで、クラウド上に燃料電池内部のデータを収集できるようになった。「運転状況をクラウド上で監視し、故障発生時にはすぐ担当者に通知される。担当者は訪問前に故障原因を特定できるので、作業効率が上がった」と八木氏は効果を語る。

 顧客向けのスマートフォンアプリを開発し、自分でエネファームを遠隔操作するサービスも実現した。「帰宅前にアプリを使って風呂の湯張りをしたり、床暖房の電源を入れたりできる」(八木氏)。

 パブリッククラウドサービスを採用したのは、「エネファームの普及拡大に合わせてシステムを増強しやすい」(八木氏)からだ。AWS以外のクラウドサービスも検討したが、「コストと実績で選んだ」と八木氏は話す。

この先は日経クロステック Active会員の登録が必要です

日経クロステック Activeは、IT/製造/建設各分野にかかわる企業向け製品・サービスについて、選択や導入を支援する情報サイトです。製品・サービス情報、導入事例などのコンテンツを多数掲載しています。初めてご覧になる際には、会員登録(無料)をお願いいたします。