サントリーは2015年5月、関西文化学術研究都市(けいはんな学研都市)のなかに、サントリー ワールド リサーチセンター(SWR)を設置した。地上4階建ての新拠点の延べ床面積は2万3000㎡。この新拠点で、健康科学に関する研究を担うサントリーウエルネス健康科学センターなどグループ3社の研究員400人が活動にいそしんでいる。以前3社は別々に拠点を構えていたが、建物や設備の老朽化もあり、SWRへの集約が決まった。
社内外と“響創”を狙って設備
SWRの新設を統括したサントリーホールディングスの藤原正明生産研究企画部部長は「SWRのコンセプトは“響創”。オープンイノベーションを含め社内外の様々な研究者が集まって交流しやすくすることで、新しい価値の創造につながるよう、SWRを設計した」と話す。
建物内は、実験室と会議室以外の間仕切りを一切排し、1階から4階まで空間がつながっている。人の声による小さなざわめきを作り、話しやすくするのが狙いだ。1階のエントランスから2階の「響創エリア」までを、緩やかなスロープや階段でつなぎ、響創エリアから4階まで広い吹き抜けが続く。
響創エリアで議論を戦わせるのは、社内の研究者だけではない。海外を含め、社外の研究者を交えたオープンイノベーションの創発を狙うディスカッションもよくある。様々な色や形のデスクやチェアを配置したり、芝生の上にいるような感覚を持たせる会議室を設けたりして、創造力をくすぐる空間をしつらえる。