顧客体験価値の向上について解説する本記事。その前編ではデジタル化時代に企業が目指すべきデジタルマーケティングを解説した。後編ではアクセンチュアが「Technology Vision2015」で示した五つのITトレンドのうち三つを取り上げ、B2Bのデジタルマーケティングならではの顧客視点について解説する。

前編から続く)

デジタル化時代の顧客行動とは

 デジタル化の波に乗る顧客は自らの意思を尊重し、よりダイナミックな行動パターンをとるようになります。旧来の消費行動モデルである「認知→選択→評価→購入→利用」というプロセスで表現することは、もはや意味がなくなっています。

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 顧客は、マスメディアやメール、Web、SNS、コンタクトセンター、店舗などを通じていつでもどこからでも意思決定をするために必要な情報を入手しています。そして実体験と評価を繰り返しながら、自身もあらゆる手段で情報提供者となり、つながり続け循環し続けています。こうした行動パターンは「ノンストップカスタマーモデル」と呼ばれています。

 顧客は、ソーシャルメディアと企業のオウンドメディア(自社Webサイトなど企業が消費者に向けて発信するメディア)の双方とのつながりを保ちつつ、自らが選択したルートをたどりながら、何度も評価を繰り返したうえで意思決定をします。ただ“モノ”がほしいだけではなく、その“モノ”を使った“コト”(新しい体験)を求めています。

 この“コト体験”を生み出すには、顧客視点を理解することが重要となります。アクセンチュアが毎年発行している、ITトレンドに関するレポート「Technology Vision」の2016年版では『主役は”ひと”(People First)』という概念のもと、企業がテクノロジー面での要件を満たすだけでなく、消費者や従業員など“ひと”を最優先に行動することの重要性を強調しています。

 顧客視点の重要性については、「Technology Vision」の2015年版でも示しました。ここで取り上げた五つのITトレンドのうち、顧客視点を理解するために重要となる「Internet of Me」、「Outcome Economy」、「Platform (R)evolution」の三つを紹介します。

Technology Vision2015で示した五つのITトレンド

Internet of Me:「個」客体験をもたらすインターネット――限りなくカスタム化された世界

Outcome Economy:成果を売る経済――確実な成果を生み出すハードウエア

Platform (R)evolution:プラットフォームの改革と進化――エコシステムを整備し、産業を再定義する

Intelligent Enterprise:インテリジェントな企業――膨大なデータとスマートな仕組みが優れたビジネスを生み出す

Workforce Reimagined:「ワークフォース」再考――人と機械の連携がもたらすコラボレーション

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