SMACS(Social/Mobility/Analytics/Cloud/Sensor・・・IoTも含む)に代表されるデジタルテクノロジーが進展する中で、消費者の選択肢は増え、従来型のマーケティングだけでは、継続的な顧客獲得やロイヤルティの向上が困難になり始めています。

 これまでの日本の製造業やサービス業では、自社が提供する高品質・多機能な商品力と価格競争力、培ってきたブランド力を通じて顧客を囲い込んできました。しかし現在では、インターネットを通じて消費者自らが情報を収集し、自身にあった商品・サービスを選択できるようになっています。

 こうして消費者の流動性が高まる中、企業にとって顧客の維持・獲得に向けた施策が急務となっています。デジタルテクノロジーを活用したマーケティングの変革は、企業経営者からの期待が極めて高く、中長期的に取り組むべき経営課題といえるでしょう。

 アクセンチュアが2015年に実施した調査「Digital Transformation in the Age of the Customer」は、企業がデジタル変革を実現するには顧客体験価値の向上が最も重要であると指摘しています。しかし大半の企業は、デジタルテクノロジーを活用して提供する顧客体験で、競合他社と差異化ができていないことも判明しています。

 調査では、今後12カ月のビジネスの最優先事項について、「顧客体験価値の向上」だと答えた企業が最も多く(21%)ありました。これは、「収益向上」(17%)や「差別化要因の向上」(16%)よりも上位にきています。

 デジタル変革を推進する目的としては、「利益率の向上」(58%)、「商品の市場投入スピードの加速化」(51%)、「顧客満足度の向上」(48%)という回答が上位三つでした。

 企業はデジタルチャネルを通じた顧客接点の強化に注力し始めています。回答者の63%は「オンラインにおける体験価値向上を計画中」で、46%は「モバイルを活用したサービスを新規導入または改善していくことを検討中」です。しかし、「実店舗での購買体験価値を向上させたい」と答えた回答者は39%にとどまっています。

 顧客体験価値の向上はデジタル時代の企業変革で重要な要素となり、デジタルテクノロジーは顧客体験価値を創出していく上で重要な役割を担っています。アクセンチュアがグローバル企業のマーケティング部門およびIT部門の上級幹部を対象に「CMO-CIO調査2014」と呼ぶ調査をしたところ、いくつかの課題に直面していることが分かっています。

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