日経物産では、東京本社と福岡支社など離れた拠点の従業員同士がファイルをやり取りする際、メールに添付したり、ファイル転送サービスやオンラインストレージを利用したりしていた(図1-1)。しかしこの方法について、情報システム部に所属するKさんは、問題だと感じていた。問題点は3つある。

図1-1●共用のネットワークを使ってネットワークをつなぐのがVPN
図1-1●共用のネットワークを使ってネットワークをつなぐのがVPN
拠点間でファイルをやり取りする場合、各拠点がインターネットにつながっていれば、メール添付やオンラインストレージを介して実行できる。もし拠点のネッ トワークそのものをつなげられれば、ファイルサーバーなどを使ってファイル共有が可能になる。これを実現をするのが、VPNだ。
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 1つは、メールの送信ミスによって機密情報が外部に漏れやすい点だ。離れた拠点にいる従業員同士が協力して新しいプロジェクトを動かしたり、予算を作ったりする業務がある。機密情報などが含まれる重要な情報をメールで添付してやり取りしていれば、ヒューマンエラーによって外部に漏れてしまう可能性がある。

 2つめは、メール添付やファイル転送サービスを使った場合、複数の従業員でのファイル共有が困難である点だ。AさんとBさんが同じタイミングでファイルを編集して、どれが最新版なのかわからなくなったり、更新した内容が消えてしまったりする問題が起こっていた。

 最後は、セキュリティポリシーに違反している可能性がある点だ。同社のセキュリティポリシーでは、機密データの社外持ち出しを禁じていた。ファイル転送サービスやオンラインストレージは、インターネット上のサービスであり、社外持ち出しと判断されかねない。

 Kさんは、上司である情報システム部長にこれらの問題点を報告し、改善策を探ることにした。すると、部長から「問題点は私も把握していた。今度、社内ネットワークの刷新でVPNを構築する予定だ。そのときに従業員同士がファイル共有を行うサーバーを設置する。君もこのプロジェクトに参加してくれ」と言われた。Kさんは以前、VPNのことを勉強しようとしたが、専門用語が多く一度挫折していた。これを機会に、VPNについて一から勉強しようと思った。

▼オンラインストレージ
インターネット経由のファイル保存サービス。

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