機械やセンサーなどのビッグデータを分析し、設備や品質の異常傾向を事前に察知する「トラブル予兆分析」が、大きな注目を集めている。そこで、実際に取り組みを進める一般財団法人石油エネルギー技術センター(JPEC)とNTTドコモの事例から、トラブル予兆分析の勘所を見ていきたい。まずはJPECだ。

 JPECが取り組んだのは、製油所の事故原因となる配管の腐食や設備の故障などを事前に検知すること。例えば、配管が腐食して危険物が漏れるような事故は、腐食が進みそうな場所を予測して重点的に点検することで未然に防げる。このため、JPECは既存の製油所で収集した過去45 年分のデータを利用し、配管の様々な場所の腐食率を高精度に予測できるモデル式を構築した。

 JPECが進めたモデル式の構築手順は下図の通り。ここでの注目ポイントは「データの項目数」。JPEC は、最初に「38項目」の実データを用意した。だが、実際に腐食率の予測に使った“分析対象データ”は「12項目」だけ。つまり、ビッグデータ分析とはいえ、全てのデータを分析に使うわけではないということだ。必要なデータは「手順2」と「手順3」で見極めている。

●JPECが進めた製油所の配管内面の腐食率を予測するモデル式の構築手順
●JPECが進めた製油所の配管内面の腐食率を予測するモデル式の構築手順
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 手順2では、38個の項目ごとに腐食率への影響度合いを分析する。重要度が高いほど、腐食率への影響が大きいことを意味する。続く手順3では、項目同士を組み合わせて腐食率への影響度合いを分析する。組み合わせる項目は、手順2で重要度が高い項目を優先するが、重要度が低い項目も無視できない。

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