前回に続き、日本オラクル 執行役員 クラウド・アプリケーション事業統括ソリューション・プロダクト本部長の原智宏氏に話を聞いた。営業部門とマーケティング部門が連携するために必要な六つのプロセスを定義し、それぞれのステップを最適なツールを用意するOracle。ユーザー企業が導入する際に考えるであろういくつかの疑問を投げかけることで、同社の考え方を明らかにした。

(聞き手は松本 敏明=ITproマーケティング、
記事構成は冨永 裕子=ITアナリスト)


日本オラクル 執行役員 クラウド・アプリケーション事業統括ソリューション・プロダクト本部長の原智宏氏
日本オラクル 執行役員 クラウド・アプリケーション事業統括ソリューション・プロダクト本部長の原智宏氏
[画像のクリックで拡大表示]

 ABM導入支援のため、既存製品に新しく機能を追加するアプローチを採用するベンダーもいる。ではオラクルの場合はどうか。例えばマーケティングオートメーション(MA)プラットフォームの「Oracle Marketing Automation」(Eloqua)などに、新しい機能を追加したのだろうか。この疑問に対し原氏は「機能的にABMに特化したものを追加するというより、元々製品に実装されている機能をうまく使うのがABMと考えている」という。

MAとSFAの連携はオラクル製品でそろえないとできないか

 オラクルでは、「プロファイリングからナーチャリングまでのプロセスをマーケティングが営業と連携して設計するという活動自体をABMと呼んでいる」(原氏)。例えばナーチャリングステップなら「どういうターゲットに対してどういう手法を適用するか」を考えて、ターゲットAにはメール、ターゲットBには広告を提供するといったリーチ方法を決める。メールを起点とする場合は、「紹介した資料をダウンロードしたか」「イベントに登録したか」といった条件に応じて、ナーチャリングプロセスを定義できるという。

 そうなるともう一つ浮かぶのはABMを見据えてMAとSFAの連携に取り組む際、オラクル製品だけでそろえなくてはならないのかという疑問だ。企業によってはこれらのベンダーが異なる例も少なくない。

 この疑問に原氏は「オラクル製品はABMというアプローチをステップに分解し、複数の製品群で支援している」と答えた。これらの製品群はシームレスな連携ができるようになっており、全部をまとめて使えば、製品個々の違いを意識しなくても、強力な連携メリットを得られるという。

 とはいえ企業側では、既に競合他社の製品やサービスを使っている場合もあるし、コンテンツ制作はまだクラウド型ではないものを使っている場合もある。このような場合に備え、「オラクル製品は他社製品との連携にも配慮している。ABMのために必ずしも全部をそろえる必要はなく、あるステップでは既にある手法やツールを継続してもらっても差し支えない」(原氏)。

この先は日経クロステック Active会員の登録が必要です

日経クロステック Activeは、IT/製造/建設各分野にかかわる企業向け製品・サービスについて、選択や導入を支援する情報サイトです。製品・サービス情報、導入事例などのコンテンツを多数掲載しています。初めてご覧になる際には、会員登録(無料)をお願いいたします。