前編に引き続き、日商エレクトロニクスのデジタルマーケティング施策を解説する。今回は、ITプラットフォーム(ITP)事業本部 ITプラットフォーム営業部 営業推進課課長の近藤 智基氏が率いるチームが2017年から取り組んでいる、ABM(アカウントベースドマーケティング)を中心に整理する。
ABMとは営業部門とマーケティング部門が連携しながら、ターゲットとした企業からの収益最大化を目指すマーケティング手法。同チームは試行錯誤をしながら独自のABM手法を構築してきた。
本来ハイパーコンバージドインフラストラクチャーの「Nutanix(ニュータニックス)」を扱う同チームは、これまでやり取りした企業の中に日商エレクトロニクスのファンを増やし、ターゲットを広げ、同社の他事業部が扱う製品も売り込んでいる。
ABMのきっかけは「エンドユーザービジネスの拡大」
「当社のビジネス戦略は2017年から、エンドユーザービジネス(企業への直接販売)に注力することに舵を切った。これがABMの展開に大きく影響している」と近藤氏はABMに乗り出した背景を明かす。
これまで日商エレクトロニクスのビジネスは代理店経由の割合が高かったが、今期から高い利益率が見込めるエンドユーザーへの直接販売を重視している。「そうなるとマーケティングでも、大きな売り上げが見込めそうな企業や業界に、重点的にアプローチしたくなる」と日商エレクトロニクス ビジネスサポート部 コミュニケーションデザイン課主任の藤村 智史氏は言う。
これまでのマーケティング施策でエンゲージ(インサイドセールスやハイタッチ営業とコンタクト)まで至った顧客とは、One to Oneの関係ができている。こうした顧客に向けて、営業と協力しながらABMを実践していく。