日商エレクトロニクスのITプラットフォーム(ITP)事業本部 ITプラットフォーム営業部 営業推進課課長の近藤 智基氏が率いるチームはハイパーコンバージドプラットフォーム「Nutanix(ニュータニックス)」を扱っている。同チームは5人編成ながら、見込み客を創出するリードジェネレーションから、そのためのコンテンツ制作、そしてインサイドセールスや客先への初回訪問までをこなし、条件に達した時点で見込み客を営業に引き継いでいる。
同チームの活動を支えているのは、マーケティングオートメーション(MA)を使ったナーチャリング(機会醸成)の仕組み。2015年秋から、同社ビジネスサポート部 コミュニケーションデザイン課主任の藤村 智史氏と強力なタッグを組んで、ナーチャリングそしてABM(アカウントベースドマーケティング、後編で解説)の仕組み作りに注力してきた。
1年半かけたプロジェクトは大きな成果を出し、2017年4月に日商エレクトロニクスの社長賞を受賞した。展開した施策と具体的な体制について、近藤氏と藤村氏に話を聞いた。
全社での「Marketo」導入を経て、ナーチャリングに乗り出す
日商エレクトロニクスは専門商社としてITサービス・製品を扱う。近藤氏のチームが担当するNutanixは、2011年に日商エレクトロニクスが米国で発掘し、代理店契約を結んで販売しているハイパーコンバージドプラットフォームだ。
それまで同チームのマーケティング活動のKPI(重要業績評価指標)は、年間に作成できた事例の件数だった。「事例を作って、それで終わりということが多かった」(近藤氏)。
「プロダクト担当は、Webコンテンツを作ったり、メルマガを配信したり、セミナーを開催したりして顧客に見つけてもらうしかなかった」と近藤氏は振り返る。しかしセミナーを開催しても、案件化しないリードが大半で、そこで得た情報もほとんどが「引き出しの中に入れっぱなしになっていた」という。
そんな状況を変えたのが、全社のマーケティング・広報を担当する藤村氏との協調だった。2014年11月に、日商エレクトロニクスがマーケティングオートメーション(MA)ツール「Marketo」を導入したのを受け、藤村氏は近藤氏に「ナーチャリングという手法を取り入れてみては」という提案をしてきたのだ。