NTTデータグループでデータマネジメントを手がけるリアライズは、AI(人工知能)とシソーラスナレッジにより顧客データのマッチングとクリーニングをする「Data-Master」の商用提供を2017年4月に開始した。同サービスは、2016年10月からトライアルで一部企業に提供していた。

 同サービスは用途ごとや部署ごとに企業内に分散した顧客リストを、整合性を保って統合するとともに、表記揺れや略称表記などを正しくクリーニングしてくれる。企業は正確な顧客リストを使ったデータドリブンマーケティングが可能になる。こうしたデータ整備は、ABM(アカウントベースドマーケティング)を実践する上でも欠かせない。

 「データを活用する楽しみをもっと日本に広げたい」と話すリアライズ代表取締役社長の大西浩史氏に同サービスの機能や今後の展望について話を聞いた。

(聞き手は松本 敏明=ITproマーケティング、
記事構成は中村 仁美=ライター)


リアライズ代表取締役社長の大西 浩史氏
リアライズ代表取締役社長の大西 浩史氏
(撮影:中村 仁美)
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Data-Masterとはどんなサービスなのか。同様のサービスも登場しているが、どこがどう違うのか。

 Data-Masterは企業内のデータがバラバラで、コンディションが良くないことを前提に顧客リストを統合するサービスである。顧客リストは郵送DMリスト、FAX-DMリスト、メール配信リスト、SFA(営業支援システム)/CRM(顧客関係管理)など、活用目的別や部門別、場合によっては担当者別にバラバラに管理されていることが多い。

 本来ならこれらのデータを連係させて、顧客(アカウント)単位の注文履歴や売り上げなどの正しい情報を把握できるようになれば、営業やイベント集客などを効率化できる。しかしバラバラのデータを統合する作業には非常に多大な手間と労力がかかるため、統合できていない。

 顧客リストの統合が難しい理由は、データが散在しているからだけではない。値に入力ミスや省略があったり、自組織や担当者独自の用語が多用されていたりするからだ。正しいデータを入力していても、合併や商号変更、移転などが常に発生し、更新が追いつかないという理由もある。

 ただし、機械的なリストの統合は容易ではなく、同じ法人であることを正しく判断するには人間による目視確認が欠かせなかった。Data-Masterならこれらの課題を解決できる。

競合に比べてData-Masterの強みはどこにあるのか。

 当社の強みの第一は長年、蓄積した辞書によるマッチ率の高さにある。創業以来、法人顧客データ最適化や運用サービスでデータクレジングを手がけてきた当社は、独自にシソーラスを整備している。

 データのクレジングや加工編集処理は、人間でしか判別できないものが多い。この実績が評価され、多くの引き合い得て、ビジネスを成立させてきた。

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