NECは2016年10月に、10年以上運営していた自社情報メディア「WISDOM」をリニューアルし、その役割を大きく変えた。さらに外部のメディアが展開するWebサイトを活用し、それぞれがターゲットとする読者に最適なコンテンツを提供している。
これらメディアで集客した見込み顧客に対しては、MA(マーケティングオートメーション)やSFA(営業支援システム)、さらにDMP(Data Management Platforme)といったテクノロジーを活用して、多様なアプローチを展開。ターゲットとする顧客の全体像を把握し、効果的な営業活動を目指す。その具体的な取り組みを、CRM本部フィールドマーケティンググループの東海林直子シニアマネージャーに聞いた。
記事構成は冨永 裕子=ITアナリスト)
(前回から続く)
エンゲージメント獲得のためのメディア戦略を整理
エンゲージメント獲得では、顧客の関心を引き付けることが重要になる。NECの場合、コーポレートサイトだけでなく読者層に合わせた複数のメディアを運営しているのが大きな特徴だ。
NECは、自社情報メディア「wisdom」のほか、「日経電子版:LEADERS VISION」「ITmedia: Changer」といった、外部サイトの活用にも積極的に乗り出している。wisdomが経営とITに影響を与えるリーダーを読者として想定し、LEADERS VISIONが経営者、ChangerがITリーダーをターゲットに据え、それぞれの中で完結したコンテンツを提供している。
wisdomはNECのコーポレートサイトやソーシャルメディア、ペイドメディアのハブになる役割を果たす狙いから、2016年10月に全面リニューアルした。同サイトは2004年に「WISDOM」という名称で開設し、英会話や歴史など、ビジネスマン個人に寄り添うコンテンツを提供し、76万人の会員を獲得してきた。
NECには国内では先進的なメディアを運営している自負があったものの、NECの事業に関連して会員の業務上のニーズに応えるコンテンツを提供してきたわけではなかった。このため、ビジネスへの貢献という観点から見直すことにしたという。
三つのサイトを使い分けるのは、それぞれの読者層が重なっていないことが分かったから。LEADERS VISIONとChangerの読者層を把握し、wisdomの読者層と行動を分析したことで明らかになった。