NECのCRM本部は、Webサイトをはじめ、宣伝や展示会/ショールーム、イベント/セミナー、ユーザー会など、対面営業以外の様々な顧客接点を統括する。フィールドマーケティンググループは、いくつもの顧客接点を活用しながらリード(見込み客)を育て、営業部門に引き渡せるようにすることをミッションとしている。
同グループでは、2009年からインサイドセールス機能をマーケティングと営業の連携に活かす取り組みを試行してきた。2016年9月にはこの試みを全社プロジェクトに拡大。ターゲットとなる企業を見ながらマーケティング施策を展開する「ABM(Account Based Marketing)」に取り組む体制を整備しつつある。
NECでフィールドマーケティンググループを率いるシニアマネージャーの東海林直子氏に、組織やメディア戦略のほかコンテンツ制作、ナーチャリングプロセスといった観点からNECのマーケティングに関する取り組みについて聞いた。
記事構成は冨永 裕子=ITアナリスト)
インサイドセールスを中心に据えたNECのデジタルマーケティング
NECのマーケティング活動の特徴は、お客様個々を認識した最適な情報発信を基調に、マーケティングと営業(フィールドセールス)をつなぐインサイドセールス機能を活用しているところにある。NECは、インサイドセールスの試行を2009年に始め、一つの組織から電話をかけるよう改めた。それ以前は見込み顧客に担当部署から電話をしていたり、外部に委託していたりと部署によってバラバラだった対応を集約した。
現在は、CRM本部のマーケティング担当とインサイドセールス担当が、リードの創出(ジェネレーション)から醸成(ナーチャリング)、絞り込み(クオリフィケーション)を進め、絞り込んだリードを営業(フィールドセールス)に渡す体制で運用している(図1)。
NECはマーケティングと営業との連携に当たって、ABMの考え方を採用している。具体的には以下の通りだ。
連携の要となるインサイドセールス(テレセールス)の機能は、営業担当者にリードを渡すまでを担当する。企業によっては、テレマーケティングとインサイドセールスを同義の役割としている場合もあるが、NECは「テレマーケティング」という言葉を、マーケティング部門が作ったMQL(Marketing Qualified Lead)を評価するときに使い、インサイドセールスとは区別している。