顧客のオンプレミス環境にありながら、使い勝手はパブリッククラウドと同じ---オラクルやIBM、マイクロソフトが“オンプレクラウド”の投入を急いでいる。AWS(アマゾン・ウェブ・サービス)を追走する大手ベンダーにとって、オンプレクラウドは「AWSには出来ない技」を訴求する切り札だ。クラウドの手軽さはそのままに、データを社外に出したくない企業ユーザーのニーズに応える。

 日本オラクルが2016年4月21日に発表した「Oracle Cloud Machine」は、Oracle DBなどのミドルウエアを同社製ハードウエアに詰め込み、顧客のオンプレミス環境に設置。顧客はPaaS(プラットフォーム・アズ・ア・サービス)として従量課金で利用できる。「導入・設定はもちろん、ハードウエアやソフトウエアのリモート監視などもオラクルが行う」(日本オラクル 執行役員 クラウド・テクノロジー事業統括 Fusion Middleware事業統括本部長 本多充氏)。

写真1●Oracle Cloud Machineのコンセプト(出所:日本オラクル)
写真1●Oracle Cloud Machineのコンセプト(出所:日本オラクル)
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社内にある安心感、クラウドの利便性

 ハードやソフトを顧客先に持ち込み、従量課金で提供するサービスは、国内ベンダーを中心に以前からあった。ただ、特定顧客に向けて仮想マシンを提供する程度にとどまっていた。ここで言うオンプレクラウドは、パブリッククラウド由来の“純正サービス”をPaaSとして提供する点で、従来とは一線を画する。Oracle Cloud Machineや「IBM Bluemix Local」、「Microsoft Azure Stack」はいずれも、パブリッククラウドのオンプレミス版との位置づけだ。

 金融や医薬など社外にデータを出したくない企業は少なくない。一方で、IaaSからPaaSへ競争軸を移してきたクラウドは、とりわけビッグデータやIoT(Internet of Things)をキーワードにデータ分析サービスを充実させている。オンプレクラウドならば、「社内にデータがある安心感」と「PaaSの利便性」を両取りできる。

写真2●IBM Bluemixが提供するサービスの例(出所:日本IBM)
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 IBMのPaaSであるBluemixは、様々なデータベースや分析ソフトをそろえ、手軽に利用できる。このラインナップからニーズの高いサービスをBluemix Localへ切り出していくが、「AI関連サービスの“Watson”もロードマップに乗っている」(日本IBM クラウド・ソフトウェア事業部 Bluemix&XaaSテクニカルセールス 部長 武田成史氏)。

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