高速道路のサービスエリアなどで働く清掃員がiPadを業務報告に駆使している。現場報告の頻度は月次から日次に。ほぼリアルタイムで現場の状況を把握し、迅速な対応が可能になった。清掃員の平均年齢60歳。当初はiPad利用に難色示すも、所長自らのフォローで現場定着が実現した。道路設備の維持管理業務や除雪作業などにも活用して、安全で快適な施設運営を目指す。

今月の変革人
伊藤 和明 十和田事業所所長
伊藤 和明 十和田事業所所長
秋田県鹿角市にある十和田インターそばの 事業所を拠点に、東北自動車道の安代イン ターから碇ケ関インターまでの約70kmに 及ぶエリアで、高速道路の維持管理業務や 修繕業務を統括。2014年から、iPadを使 ったワークスタイル変革を本格推進

 高速道路のサービスエリアにあるトイレで、女性清掃員が個室で忘れ物を発見。携帯していたiPadで忘れ物を撮影した。その情報は即時にメールで、数キロ離れている事業所の職員へ通知。メールに気づいた職員は、忘れ物対応を担当するパトロール隊へすぐに連絡した。パトロール隊はほどなくそのサービスエリアから忘れ物を回収した―。

 こんな光景が、ネクスコ・メンテナンス東北(仙台市)の十和田事業所が管轄するSA・PA(サービスエリア、パーキングエリア)ではごく普通になっている。同社は東北自動車道など東北エリアの高速道路の施設や設備の保全を手掛ける。

 その十和田事業所は、秋田県鹿角市の十和田インターそばにある。管轄範囲は事業所を中心とする約70kmの高速道路に点在する5カ所のSA・PAだ。ここで清掃員を対象にしたiPadによるワークスタイル変革を2014年2月から進めている。

 SA・PAにある清掃員の詰所には、独自開発した報告・管理業務システム「HIMITSハイミッツ」を利用できるiPadを配備。現場報告を実践している。HIMITSは、清掃員をはじめネクスコ・メンテナンス東北の職員、除雪作業などを担う協力会社の担当者向けの12種類のアプリから成る。

 清掃員9人の平均年齢は60歳。タブレット端末に強い抵抗感を抱きがちな世代だが、どの清掃員も作業報告にiPadを使いこなす。

 清掃員は、HIMITSのアプリの1つ「清掃員安全管理システム」を使って、SA・PAでの作業を報告している。朝は、アプリの画面に表示された「作業開始します」ボタンをタップして仕事に着手。夕方に「作業終了しました」のボタンを押して、帰宅の途につく。

 清掃員は自宅と担当するSA・PAの間を、自家用車で直行直帰している。清掃員がiPadから作業の開始や終了のボタンをタップすると、十和田インター近くにあるネクスコ・メンテナンス東北十和田事業所の職員に、メールで自動通知される。

 十和田事業所は各SA・PAから数キロ以上離れているが、「リアルタイムに各SA・PAの清掃員の作業状況を把握できる」と、十和田事業所の伊藤和明所長は効果を語る。

●ネクスコ・メンテナンス東北では高速道路のサービスエリアなどで女性清掃員がiPadを現場活用
●ネクスコ・メンテナンス東北では高速道路のサービスエリアなどで女性清掃員がiPadを現場活用
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