近年、日本でもMA(マーケティング・オートメーション)ツールを導入する企業が増えている。しかし、MAツールを導入しただけで成果が上がるわけではない。MAツールを最大限活用するためには、マーケターが現実に即した顧客理解にもとづく戦略を立てることが不可欠である。
最近、MA(マーケティング・オートメーション)ツールを導入する企業が増えている。MAという言葉が生まれたアメリカでは、33%の企業がMAツールを既に導入しており、50%以上が今後の導入を検討している[1]という。 日本でも、2015年度のMAツールの市場規模は前年比31%増[2]と試算されており、MAツール導入は珍しい取り組みではなくなりつつある。
しかし、MAツールを効果的に使いこなしている企業がある一方で、劇的な効果が出ないままの企業も見られる。MAツールを成果につなげるためには何が必要なのだろうか。
[1] Trend Report 2016 Data driven marketing
[2] DMP(データマネジメントプラットフォーム)サービス市場/MA(マーケティングオートメーション)サービス市場に関する調査結果 2015 | 矢野経済研究所
MAツールが効率化するのは実行と検証のみ
MAツールを導入したのに成果が出ない背景には「MAツールさえ導入すれば完璧なOne to Oneマーケティングができる」という考え方があることが多い。MAツールの主要機能の一つは、顧客を属性やサイト上での行動に基づいたいくつかのペルソナに分けて、顧客ごとにコンテンツを出し分ける機能である。そのため、MAツールでマーケティング活動を自動化し、緻密なパーソナライズを行うことで、売上を増やすことができると考える企業が多い。
しかし、それはMAツールのみでできるものではない。確かにMAツールは、複雑なパーソナライズ施策を楽に実行する力があり、それは企業のマーケティングにとって大きな助けとなる。しかし逆にいえば、MAツールが効率化してくれるのは施策の実行と結果の測定のみである。PDCAサイクルでいえば「D」と「C」の部分にすぎず、残りの部分は人間が考えなければいけない。MAツールはマーケティングを完全に自動化するためのものではなく、マーケターの側がMAツール活用のための戦略を持つことが必要となる。