IoTシステムは、センサーデバイスやゲートウエイ、クラウド、それらをつなぐネットワークなどの要素で構成されます。このうちクラウドについて、これまでは通常のクラウドをそのまま使うのが一般的でした。しかし、最近ではIoTに最適化されたクラウド「IoTプラットフォーム」に注目が集まっています。今回は、当社のIoTプラットフォームを活用して構築した未病ヘルスケアクラウドシステムを例に、IoTプラットフォームについて解説します。

従来型クラウドとIoTプラットフォームの違い

 近年、高齢者人口の増加に伴う医療費増大への懸念や、2014年度の労働安全衛生法改正によるストレスチェック義務化など、医療とヘルスケアに対する関心は高まっています。また病気の中でも慢性疾患の割合が増えてきており、「病気にならない生活」つまり、予防医療が大切になりつつあります。

 そこで様々なウエアラブル機器により日々の生活でバイタル情報を収集し、現状の健康状態の把握や過去の情報を分析し、病気にならないための予防に役に立てていくことが重要になっています。しかし多種多様な生体センサー機器に対応したシステムを個別に作ることは困難です。そうした様々な機器を扱うことに長けた未病対策ヘルスケアクラウドシステムの必要性が高まってきています。

 センサーの小型化/ウエアラブル化、マイコン性能の向上、通信の環境の整備に伴って、様々な生体情報(体温計、心拍計、血圧計、歩数計、睡眠時間など)を取得しやすくなり、生体情報の電子化が容易になりました。これまでの未病対策ヘルスケアクラウドシステムは、そうした情報をインターネットを介してリアルタイムに収集し蓄積してビッグデータ化し、毎日の健康情報の見える化や、異常値が発生したときの本人へのアラート通知などを実現していました。

 ただし、従来型クラウドを使ってシステムを構築する場合、大きな課題がありました。利用できるウエアラブル機器は単一メーカーのみで、別のメーカーの機器を使う場合には、別のクラウドを用意する必要がありました(図1)。

図1●従来型のIoTクラウドシステムではセンサーデバイスごとの個別システムになる
図1●従来型のIoTクラウドシステムではセンサーデバイスごとの個別システムになる
出所:アレグロスマート
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 また従来型のIoTクラウドシステムは、一般的に図2のような階層構造で表されます。

図2●従来型IoTクラウドの構造
図2●従来型IoTクラウドの構造
出所:アレグロスマート
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